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【不自然に消されていた「安全性」項目】厚労省ホームページでは見られない人気健康食品50品目の「副作用リスト」

厚労省の「健康食品」のホームページで閲覧できなくなった有害事象を“復元”(イメージ)

厚労省の「健康食品」のホームページで閲覧できなくなった有害事象を“復元”(イメージ)


 小林製薬の「紅麹」の健康被害が拡大しているなか、厚労省のホームページ上に掲載された健康食品・サプリの原料となる素材に関する「安全性・有効性情報(素材情報データベース)」のうち「安全性」の項目が昨年、突如として削除されていたことが判明した。

現在、ほかの健康食品のリスクも閲覧できない状態が続いている。

 米国では保健福祉省(日本の厚労省に当たる)に属する世界最大の医学研究機関・NIH(米国国立衛生研究所)が健康食品の有効性や安全性に関する情報を整理し、ホームページで公開。

検索すれば誰でも無料で閲覧できる。

 そこで本誌・週刊ポストは医師の協力のもと、NIHの公開情報から、日本でも多く服用され、機能性表示食品として発売される成分を50種抽出。

厚労省の「健康食品」のホームページで閲覧できなくなった有害事象について“復元”し、一覧表にまとめた。

肝臓の損傷
 問題の発端となった紅麹(モナコリンK)。

厚生労働省所管が管轄する国立健康・栄養研究所の855種のデータベースでは現在も「ベニコウジ」の欄があるが、ほかの成分と同様安全性は削除されている。

 だが、「有効性」の欄にはLDLコレステロールが高めの日本人67人を対象とした試験でベニコウジを8週間摂取したところ、〈いずれの群も血中脂質の低下が見られた〉などと書かれている。

 そうした有効性の情報しか得られない状態は危険だ。NIHのHPでは紅麹についてこう書かれている。

〈大量のモナコリンKを含む紅麹製品には筋肉、腎臓、肝臓の損傷などスタチン系薬剤と同じ潜在的な副作用が発生する可能性〉
〈消化器系の問題(下痢、吐き気、腹痛など)〉

 ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也医師が解説する。

「紅麹のモナコリンKがコレステロール薬と類似成分である以上、同じ副作用は起こり得るでしょう。スタチン系薬は横紋筋融解症や肝機能障害の副作用が知られています。筋肉が破壊されて尿細管に詰まれば、急性腎不全の危険もあります」

 

 

厚労省HPでは見られない人気健康食品の「副作用リスト」(その1)

厚労省HPでは見られない人気健康食品の「副作用リスト」(その1)

 

 

そのほかの成分はどうか。“老化予防サプリ”として人気のコエンザイムQ10を見てみると、「有効性」の欄にはスウェーデンの高齢者221人の調査で服用によって血中の「NT-proBNP(心負荷の指標)」濃度の増加抑制が見られた事例などが掲載されている。

 

 だがNIHの情報を見ると吐き気や嘔吐、下痢など消化器系の副作用が挙げられている。薬剤師の長澤育弘氏が言う。

 

コエンザイムQ10はもともと一般名ユビデカレノンという医薬品で、強心剤として使われます。医薬品同様の副作用があることに加え、降圧剤との飲み合わせで作用が増強される恐れがあります」

 

 関節痛を和らげる機能が期待されるグルコサミンや、中性脂肪の減少や認知症の予防効果が期待されるDHAEPA(オメガ3脂肪酸)にも吐き気や下痢など消化器系の副作用が報告されている。

 

 亜鉛は不足すると免疫力低下や脱毛、生殖機能の低下を引き起こすことから、それらの症状に悩む中高年男性の間で人気のサプリ成分だ。新型コロナ患者の味覚障害の改善にも利用されたことで知られる。

 

 しかし、過剰摂取した場合の副作用は要注意だ。

「過剰に摂取すると亜鉛血中濃度が上がりすぎてしまうため、頭痛、めまい、吐き気や嘔吐のほか、それが長期間に及ぶと貧血や免疫力低下などにつながる可能性があります」(前出・谷本医師)

 

厚労省HPでは見られない人気健康食品の「副作用リスト」(その2)

厚労省HPでは見られない人気健康食品の「副作用リスト」(その2)

 

 「死亡リスク」の上昇も

 

西洋ハーブ(薬草)が原料のセントジョーンズワートは不安やイライラを抑える目的で利用される。厚労省のHPでは有効性として〈抑うつ症状の改善に寄与する可能性が認められた〉などとあるが、そうした有効性の半面、EDのリスクがあるという。

 

「NIHは副作用に性機能障害を挙げますが、元々精神症状に作用するハーブであることを考えると、『心因性ED』につながる可能性が考えられます」(前出・長澤氏)

 

 疲労回復や栄養補給を目的に服用するビタミン類は過剰摂取により、

ビタミンCは胃けいれん、

ビタミンDは腎不全や不整脈を起こす可能性がある。

 なかには命に関わる重病のリスクが指摘される成分もある。

 

 便秘の改善や美容効果が期待されるアロエは腹痛や胃けいれんと並んで急性肝炎の副作用が、肥満改善が期待されるマテ茶は長期間かつ大量の飲用でがんリスクを高める可能性が指摘されている。

 

 加齢や生活習慣により、リスクの度合いが変化する成分も。EDの改善や血圧低下作用が期待されるL-アルギニンについてNIHは〈特に高齢者の場合、心臓発作後の死亡リスクを高める可能性〉を指摘している。

 

 

週刊ポスト2024年4月26日号