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【令和では“やってはいけない”】ハラスメント&コンプラ違反事例・会社編 「部下の肩に触れる」「大声で指示をする」「飲酒を強要する」がNGの理由

肩に触れる“程度”と考えてはいけない

肩に触れる“程度”と考えてはいけない

 1月期のドラマで、話題となった『不適切にもほどがある!』(TBS系)で描かれていたのが、昭和と令和の価値観のズレ。昭和では当たり前だった言動が、令和では“コンプライアンス違反”として批判されるというわけだ。

 

 特に2019年から施行された「働き方改革関連法」の影響もあって、会社内でのルールはより細かくなった。以下、令和では「やってはいけない」事例集・会社編を紹介するとともに、専門家に解説してもらった。

部下の肩を叩く、触れる《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

 肩に触れる程度の接触は距離を縮めるためのコミュニケーションだと思っている人は多い。「相手が不快に思えばセクハラです。同性でも、同意なく相手の体に触れてはいけません」(社会学者の田中俊之さん)。

容姿についてネタにする《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

容姿についてネタにする《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

容姿についてネタにする《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

 

 顔の特徴や体形を話題にするのはNG。「2015年頃から、人を容姿の美醜で評価したり差別する外見至上主義は非難の対象に。

セクハラやパワハラとして厳重注意する会社も増えています」(心理カウンセラーの石原加受子さん)。

勤務中、私物のスマホSNSに投稿《職務専念義務違反で懲戒処分の可能性も》

勤務中、私物のスマホでSNSに投稿《職務専念義務違反で懲戒処分の可能性も》

勤務中、私物のスマホSNSに投稿《職務専念義務違反で懲戒処分の可能性も》

 

「息抜きや休憩時間に私的なことを発信するなら問題ありませんが、勤務中の場合、職務専念義務違反になる可能性があります」(弁護士の田畑淳さん)。勤務中は仕事に専念すること。

 

部下の配偶者の悪口を言う《パワハラの『個の侵害』の可能性も》

部下の配偶者の悪口を言う《パワハラの『個の侵害』の可能性も》

部下の配偶者の悪口を言う《パワハラの『個の侵害』の可能性も》

 部下の配偶者への批判は、厚生労働省が指定する「パワハラの6類型」のうち「個の侵害」に該当する可能性が。

配偶者をおとしめることで部下をほめるつもりだろうと、言い訳にはならない。

部下にあからさまな好意を見せる《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

部下にあからさまな好意を見せる《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

部下にあからさまな好意を見せる《セクハラ・パワハラで懲戒処分の可能性も》

 

 最近は女性上司が男性部下へ言い寄るケースも増えているというが、性別にかかわらず、上司の立場を利用して好意を示すのはNG。

 

「被害者は男女問わず、まずは会社の相談窓口に行くべきです。つきまといに発展した場合は、警察にも相談を」(田中さん)。

大声で指示をする《パワハラで懲戒処分の可能性も》

大声で指示をする《パワハラで懲戒処分の可能性も》

大声で指示をする《パワハラで懲戒処分の可能性も》

 

 大声を出して感情的に叱責することが“精神的な攻撃”となる場合はNG。「社内規定によりますが、大声での叱責はパワハラとみなされることがあります。

 

業務内容や労働環境の改善を行い、大声を出さずに済む環境を整えるべき」(田畑さん)。

 

時短勤務者に嫌みを言う《マタハラで懲戒処分の可能性も》

時短勤務者に嫌みを言う《マタハラで懲戒処分の可能性も》

時短勤務者に嫌みを言う《マタハラで懲戒処分の可能性も》

 

「企業には、妊娠・出産・育児休業をしている社員への嫌がらせ(マタニティハラスメント)を防止する義務があります。

 

この場合、嫌みを言わせるような労働環境にしている会社に問題が。本人に文句を言う前に、上司に環境改善の相談を」(田畑さん)

部下の子供が病気なのに休ませない《育児・介護休業法違反の可能性も》

部下の子供が病気なのに休ませない《育児・介護休業法違反の可能性も》

部下の子供が病気なのに休ませない《育児・介護休業法違反の可能性も》

 

「未就学の子供が、病気やけがをした場合、会社員は『育児・介護休業法』で、年間5日(2人以上は10日)まで看護休暇を取れます。会社のルールに従って申請したのに不当に扱われた場合、会社側の法律違反になります」(田畑さん)

飲酒を強要する《強要罪に抵触する可能性も》

飲酒を強要する《強要罪に抵触する可能性も》

飲酒を強要する《強要罪に抵触する可能性も》

 

 上司から業務にかかわる接待への参加を命令された場合は、応じる義務があるが、飲酒は断ってもよいという。強制されたらアルコールハラスメントとなる。

 

「急性アルコール中毒で入院したり、障害が残ったりすれば、傷害罪が成立する可能性も」(田畑さん)。

不倫がバレる《降格や左遷の可能性も》

不倫がバレる《降格や左遷の可能性も》

不倫がバレる《降格や左遷の可能性も》

 

 不倫などの私的な問題でも、社内の秩序や風紀の維持に支障をきたすことがある場合、懲戒の対象になることも。

 

「会社の信頼を損ねますので、降格や左遷も会社によってはありえるでしょう。気になる場合は、就業規則雇用契約書を確認しましょう」(田畑さん)

 

※本企画は2024年3月現在の法令に基づいています。各事例がどのような法律違反になるかについては、あくまで可能性です。類似の事例が必ず同じ結果になるとは限りません。

 

 

【プロフィール】
弁護士・田畑淳さん/東京大学慶應義塾法科大学院を卒業。神奈川県内に「溝の口法律事務所」を開設。企業の顧問を多数務め、コンプライアンスの問題を扱う

社会学者・田中俊之さん/大妻女子大学人間関係学部准教授。男性学の第一人者で、内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員、厚生労働省イクメンプロジェクト推進委員会委員、渋谷区男女平等推進会議委員として男女共同参画社会の推進に取り組む

心理カウンセラー・石原加受子さん/親子や友人など人間関係のカウンセリングを行う「オールイズワン」代表。独自に開発した「自分中心心理学」を提唱。近著に『もう親のことで悩まない本』(きずな出版)がある

取材・文/前川亜紀 イラスト/藤井昌子

 

※女性セブン2024年4月18日号