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冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機…新生活の家電購入で早くも「間違えた」の声が続々 家電ライターが解説する「失敗しない家電選び」のコツ

「冷蔵庫は大きめ」のほうがいい?(Gettty Images)

「冷蔵庫は大きめ」のほうがいい?(Gettty Images)

 

 

 4月の新生活スタートに合わせて家電を新たに購入したという学生や新社会人は多いのではないか。

 

冷蔵庫に洗濯機、電子レンジなど、衣食住に欠かせない白物家電は各社さまざまなモデル・価格帯が揃っているが、なかには早くも「選び方を間違えた」と感じる人もいる。

 

新生活の家電選びにまつわるエピソードを、フリーライターの清水典之氏が取材。

さらに、家電に詳しい識者に「失敗しない家電選びのコツ」を聞いた。

 

 * * *
 大手企業の広報とは思えないウィットに富んだXのポストで世間の注目を集めている家電メーカー「SHARP」の公式アカウントが、3月下旬に以下のポストをして話題になった。

 

〈私が新生活をはじめる人に贈るアドバイスなんて「シャープじゃなくてもいいから、冷蔵庫は大きめを買え、レンジはオーブンレンジを買え、洗濯機は乾燥付きを買え」くらいしかないので、経験豊富なみなさんは以下に教訓を続けてください。〉(2024年3月21日)

 

 春は進学や就職、転勤などで引っ越す人が多いが、新居に家電を揃えるうえで、何を買えば良いか頭を悩ますもの。

 

そこで、SHARPさんは「大きめの冷蔵庫」「レンジはオーブンレンジ」「洗濯機は乾燥機付き」を薦めた。このポストのツリーではさまざまな人が家電購入のアドバイスをしているが、なぜこうしたアドバイスが次々に出てくるかというと、要するに、家電選びは失敗しやすいからだ。

 

 そこで、新生活の家電購入にまつわる失敗談を集め、『マツコの知らない世界』(TBS系)に何度も出演している家電ライターの藤山哲人氏に失敗しないコツを訊いた。

冷蔵庫の「最適サイズ」はどう判断?

 まずは冷蔵庫。SHARPさんが「大きめを買え」と奨めるのは、冷蔵庫はすぐに一杯になりがちだからで、言わんとしていることはよくわかる。ただ、さまざまな失敗談を集めたところ、こんな声もあった。

 

「料理好きなので、大型冷蔵庫を買ったら、ワンルームの玄関から入らなかった。2階だったので、ベランダから引っ張り上げてなんとか入った」(会社員・24歳女性)

 

高層階だったら詰んでいたという。

 

 大型家電は、玄関や室内のドアなどの長さを測ってから購入するのが大前提だが、そもそも冷蔵庫には最適サイズはあるのか。藤山氏はこう言う。

 

「冷蔵庫の最適サイズは、料理をするか、しないかで変わります。一般的には、冷蔵庫の容量は1人あたり100リットルとされ、家電量販店などでは、一人暮らしだと70〜120リットルを奨められますが、料理をする人だと足りないので、少し大きめで2ドアの200リットルくらいがいい。

 

 一方、料理をまったくしない人だと、『近所にコンビニがあるから、冷蔵庫いらない』で済んでしまいます。ビールなどを数本冷やすだけなら、動作音がしないペルチェ式の小型冷蔵庫(コンプレッサーではなく、ペルチェ素子という半導体素子を利用した冷蔵庫)という選択肢もあります」

 料理をするつもりがあるのかどうかをまず考えることが大事だという。

炊飯器、オーブンレンジは「代用できる」

 炊飯器も同様だ。「大学の入学時に上京して炊飯器を買ったが、4年間まったく使わなかった」(会社員・25歳男性)という声もある。

 

「今はコンビニでパック入りのご飯が買えて、家で炊くのと比べてコスト的にもそんなに高くはつかない。毎日炊くような人をのぞけば、一人暮らしだと炊飯器はいらないかもしれません」(藤山氏)

 

 炊飯器がなくても、ご飯は鍋とガスコンロで炊ける。1〜2合なら、フタをして強火で沸騰させたあと、弱火にして12分程度で、美味しいご飯ができあがる。

 

 

電子レンジのオーブン機能は便利だが…(Getty Images)

電子レンジのオーブン機能は便利だが…(Getty Images)

 レンジにオーブン機能が必要かどうかも、個人の生活スタイルによる。

「オーブンレンジを買ったんだけど、結局、オーブン機能はトーストを焼くくらいしか使っていない。オーブントースターにすれば良かった」(会社員・30歳男性)

 

 SHARPさんに逆らうようで申し訳ないが、料理をしない人にオーブン機能は不要だ。

「トーストや冷凍ピザなどは、フライパンでもコンロのグリルでも焼けるので、オーブントースターもいらない。料理をしなければ、単機能の電子レンジで十分です」(藤山氏)

 

 もちろん、オーブンレンジ購入をきっかけに、料理に目覚める可能性はあるので、一概に否定するつもりはない。

洗濯機の「乾燥機能」は必須?

 洗濯機については、一人暮らしの女性からこんな声があがった。

「ベランダに衣類を干すのは、防犯の面から不安なので避けたいのですが、部屋の中に干す場所がない。乾燥機能付きの洗濯機を買えば良かった」(学生・19歳女性)

 

 SHARPさんが乾燥機能付きの洗濯機を推す理由はこの辺りにありそうだが、製品の選択が実は難しいと藤山氏はいう。

 

「乾燥機能つきのドラム式洗濯機は、最低でも10万円以上するので、若い人には負担が大きいかも。

縦型の洗濯機にも乾燥機能つきの製品がありますが、ドラム式とは乾燥の機構が異なるため、電気代と水道代が非常に高くつくのがネックです。

 

近所にコインランドリーがあるなら、シンプルな縦型洗濯機を買って、まとめて洗濯をして乾燥はコインランドリーでするという選択肢もあります」

 

 初期費用とランニングコストのどちらを重視するかで、最適解は変わるという。

 

 

「初期費用」と「ランニングコスト」のどちらを重視するかが鍵(Getty Images)

「初期費用」と「ランニングコスト」のどちらを重視するかが鍵(Getty Images)

 洗濯機については、こんな体験を話す人もいる。

 

「20年くらい前の話。結婚する半年ほど前から新居に住み始め、お金がなかったから家電がまったくない状態だったんですが、何に困ったかというと、やはり洗濯だった。

風呂場で衣類を手洗いするのが本当に大変で、最初に買った家電が洗濯機でしたね」(40代・フリー)

 

 そんなに貧乏でよく結婚したなと思わないでもないが、それはともかく、洗濯以外はコンビニや外食で済んでしまうが、近所にコインランドリーがないと、洗濯はかなり面倒だということだ。逆に言えば、コンビニとコインランドリーがあれば、一人暮らしの場合、ほとんどの家電がなくてもなんとかなる。

 

「最近は、持ち帰り専門の弁当店やクリーニング店がコインランドリーに転換するケースが多く、けっこう増えています。

だから、最初から家電を全部そろえるのではなく、最低限に抑え、実際に生活し始めて必要だと思ったものから揃えていくのがいいと思います」(藤山氏)

 

 新生活での自身の生活スタイルが確立してから、必要な家電を購入した方が、失敗が少なくなるはずである。

 

 

取材・文/清水典之(フリーライター