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【薄れゆく法事文化】子供世代から「親の代で終わり」の声も 「親族が集まるただの宴会」「高齢者の負担が大きい」

子供たち世代の法事への本音は

子供たち世代の法事への本音は

 墓じまいや葬儀の簡略化など、古くからの慣習の見直しが進むなか、「法事」も例外ではない。

定期的に親族が集まり、法要と会食を催すことで故人を供養する法事は、故人の冥福を祈るだけでなく、親族の絆を確かめる大切な意味を持つが、「親の代で法事は終わり」と考えている人たちも少なくないようだ。

どのような理由からなのか。

法事を知らなかった大学生が初めて参加した感想は…

 都内の私立大学に通う男子大学生・Aさんは、そもそも「法事」の存在を知らなかった。

先日、祖母の十三回忌に初めて参列することになり、「そういう催し」があることを知ったという。

 

「親から『法事』のことを聞いた時、最初“掃除”と聞き間違えたし、字を見ても法律関係の手続きなのかなと思ったくらいです。

僧侶と親族が故人を供養する仏教行事があるということを初めて知りました」

 

 そして先日、祖母の法事に初めて出席したAさんは、「ただの宴会だった」と不思議顔だ。

「ググったら、法事では故人の供養や思い出を語り合うということでしたが、誰も祖母の話なんてしていなかったような……

 

僕にしても、記憶はあまりないですしね。結局、普通に親族が集まる宴会でした。まあ、顔を合わせる口実としての意味はあるのかもしれませんが、結局よくわからないまま時間だけが過ぎて、疲れました」(Aさん)

 

年忌法要の時期

年忌法要の時期

「もう終わりにしたい」という本音

 IT企業勤務の30代女性・Bさんは、両親の代わりに、法事の主催と参列を経験したことがあるが、法事そのものが時代に合ってないと感じたという。

 

「正直みんな忙しいし、わざわざ集まらなくても、故人を思う気持ちがあれば十分な気がします。

主催側と参列側のどちらもお金だけでなく時間の負担も大きいうえ、気も遣う。しかも主催となると、御布施、卒塔婆、供花・供物など負担はかなりのもの。

 

亡くなっている人にお金をかける余裕はないのが本音です。

正直、親の世代で法事は終わりにしたいです」

 

 さらに、Bさんは夫の祖父の法事に参加する予定だが、「会ったこともないのに……」とボヤく。

「夫の親族はみんな仲が良いので、いつも思い出話や近況で盛り上がるんですけど、私にはわからない話なので、居場所がないんですよね。今回、七回忌らしいんですけど、私まで行く必要があるんでしょうか」(Bさん)

 

法事出席者の高齢化問題

 メーカー勤務の40代男性・Cさんは、「法事出席者の高齢化」を指摘する。

「うちの親族の間では、出席者の高齢化問題が深刻みたいです。若い世代は出席しないのが当たり前になっているので、もう呼びもしませんね。

 

 しかもそうこうしているうちに、出席者側が高齢になり、施設に入ったり、病気で長時間の外出が難しかったりする。

親族が全員近くに住んでいるならまだしも、全国に散らばっている状況でもあるので、正直法事はもう非現実的なイベントですね」

 

 Cさんは墓じまいを検討しており、「法事の形も変わってくるはず」と考えている。

「法事の負担が軽減されるといいですよね。簡略化したり、もしくはすっぱり一周忌でやめるみたいにできないかなと思っています。法事開催は親の代で終わってもらって、自分の両親が亡くなったら、もう法事はお終いでいいかなと思います」(Cさん)

 

 法事に参加することに負担を感じている人たちも増えている様子。法事という行事はこのまま簡略化、そしていつか消えてしまう道をたどっているのだろうか。(了)