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【料理の水加減】「ひたひた」「たっぷり」「かぶるくらい」はどう違うの? 料理研究家に聞いてみた

3つの違い、あなたは分かる?

 

料理のレシピで目にする、さまざまな「水加減」を表す言葉。特に頻出する「ひたひたの水」「たっぷりの水」「かぶるくらいの水」の3つについて、「どう違うの?」「もしかして全部同じ…?」と疑問に思ったことはありませんか。

これら3つの水加減はどう違うのか、料理研究家の長田絢さんに聞きました。

 

【画像】実は全然違う! 「ひたひた」「たっぷり」「かぶるくらい」の水加減を見比べてみた

水分量が最も多いのは「たっぷり」

 

Q.料理の水加減を表す言葉の一つ「ひたひた(の水)」とは、どのくらいの水の量を表す言葉なのですか。

 

長田さん「『ひたひた』とは、鍋に入れた材料が水面から出るか出ないか、見え隠れするくらいの水の量を指します。食材を煮る際に、だし汁や煮汁に対して使われることが多いです。『ひたひた』の煮汁で落としぶたをして煮ることで、調味料が満遍なく行き渡るので、短時間で上手に煮ることができます。

 

また、煮立ったときでも鍋の中で材料が踊らないため、煮崩れしにくいというメリットもあります。

 

『ひたひた』という表現は、最終的に煮汁をあまり残さないようにする『煮詰める』スタイルの煮物を作るときによく使われています。具体例としては、煮魚やカボチャの煮物などが挙げられます」

 

Q.次に、「たっぷり(の水)」とはどのくらいでしょうか。

長田さん「『たっぷり』とは、鍋に入れた材料全体が完全に水の中に浸り、さらに十分な水量がある状態です。火にかけて時間が超過しても、材料が水面から出ないぐらいが目安です。

 

『たっぷり』の湯で煮ると、湯の中で食材が動くので満遍なく火が通り、仕上がりのやわらかさが均一になります。

 

『たっぷり』という表現は、食材をゆでた後にそのゆで汁を捨てる『ゆでこぼし』の際によく使われています。具体例としては、豚の角煮を作る際のバラ肉の下ゆで、牛すじの下ゆで、パスタやうどんをゆでる場合などがあります。

 

麺類は、ゆでる際の水分量が足りないと麺同士がくっついてしまうことがあるため、『たっぷり』の湯が望ましいです。短時間で満遍なく火が通るので、おひたしなどを作る際に青菜をさっとゆでるのにも適しています」

 

Q.最後に、「かぶるくらい(の水)」とは。

長田さん「『かぶるくらい』とは、鍋に入れた材料が、材料の高さと同じくらいの水位で、表面が浸かっている状態のことを指します。

 

『かぶるくらい』の煮汁で煮物を作ると、水分をよく含み、しっとりと味がよく染みた煮物に仕上がります。

 

『かぶるくらい』という表現は、じっくりと火を通して下ゆでしたい場合や、最終的に煮汁をしっかり残すように仕上げて、汁ごと味わう料理を作るときによく使われています。具体例としては、おでんやポトフ、スープ仕立ての煮物、とろみをつけて仕上げるあんかけなどがあります。

 

また、丸ごとのジャガイモや根菜などゆで時間が長くかかるものや、ゆで卵を作るときにも、この水加減が適しています」

 

Q.これら3つの水加減について、実際の調理時に意識するとよいポイントを教えてください。

長田さん「先述の通り、これら3つは、調理に使用する鍋に入れた食材に対しての水分量がそれぞれ異なっています。

水分量が多い順に『たっぷり』→『かぶるくらい』→『ひたひた』となります。

 

実際の調理では、仕上がりのイメージをきちんと持つことがポイントです。

水加減と同様に、火加減も重要となります。最初に適切な水加減で調理を始めても、火加減によって水分の蒸発量が変わるため、注意が必要です。

 

水分をほぼ飛ばしてほっくりとした食感を楽しみたいか、水分を残した料理に仕上げたいかによって、『ひたひた』『かぶるくらい』の差が生じます。

 

ゆでこぼす場合は、鍋の中で食材が動いて均一に加熱ができるよう、沸騰までに時間がかかりますが『たっぷり』の水を使用しましょう。

 

また、鍋の材質やふたの有無によっても水加減が異なってくるので、お手持ちの調理道具と相性のよい料理を見極めることも大切です」

 

 

オトナンサー編集部

長田絢(おさだ・あや)