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おくすりシート、メガネ、歯ブラシ、羽毛布団など…メーカーが回収して“リサイクル資源”となる10の製品

リサイクルできるものは身近にたくさんある(使用済み「おくすりシート」の回収ボックス)

リサイクルできるものは身近にたくさんある(使用済み「おくすりシート」の回収ボックス)

 プラスチックごみを減らす取り組みが世界中で行われている昨今。

日本国内でもメーカーが率先して使用済み製品を回収し、再資源化して利用するリサイクル循環が広がっている。

 

 使用済みの製品を回収して同じ種類の製品を製造する「水平リサイクル」に加え、さまざまな技術の進歩により、メガネやおくすりシートなどこれまではリサイクルできなかったものも可能になっている。

 

 企業や自治体と提携してリサイクルを進めるテラサイクルジャパンPR・コミュニケーションズマネージャーの藤原亜希子さんは、次のように話す。

 

「ほとんどの素材がリサイクル可能ですが、採算が合わないため、そのまま焼却されたり、埋められたりして廃棄され、地球を汚染し続けています。

 

 その一方、新しい製品を作るために新たな原材料が地球から採取されています。

環境を、地球を守るには、この負のサイクルから抜け出さなくてはいけません。

 

“捨てる”という概念を捨てリサイクルを推し進めるには、リサイクルしやすいように物を集めて循環させるシステム作りが大切です」

 

 ごみのように何もかも1つの袋に入れずに、単一アイテムを集めることが、リサイクル循環をスムーズにするポイントだ。

 

 たとえば、日本の薬は品質保持と利便性のために1つ1つがプラスチックとアルミで作ったシート(おくすりシートまたはPTPシート)に包まれている。

薬を取り出した後のシートはほとんど汚れがついていないため洗浄コストがかからない、リサイクルに適した素材なのだ。

 

「1つ1つは小さくても、大量に集まればリサイクル効率が上がります。

歯ブラシも、スポンジも、アイテムごとに回収できればリサイクル資源として有効に使われ、廃棄処分は極力抑えられるんです」(藤原さん)

 

リサイクル資源となる10のアイテム

 実際に回収することができる10の製品を紹介しよう。

【1】おくすりシート(第一三共ヘルスケア

「おくすりシート リサイクルプログラム」

「おくすりシート リサイクルプログラム」(第一三共ヘルスケア

 第一三共ヘルスケアがテラサイクルジャパンと共に提携し、横浜市と協力して「おくすりシート リサイクルプログラム」を推進している。2022年10月~2023年9月に実施した1年目の実証実験では、市内の病院やドラッグストアなどに回収ボックスを設置し、直接投入してもらったところ、約1年で当初の目標の10倍以上108万枚相当(1077kg)を回収した。

 

おくすりシートはプラスチックとアルミニウムで構成され、汚れがつきづらい、リサイクルしやすい構造。今後は全国的な回収も期待される。

 

【対象】使用済み「おくすりシート」(購入店舗やメーカー不問)。※粉薬の袋は対象外


【場所】神奈川県横浜市の病院、公共施設、調剤薬局、ドラッグストアなど102拠点で、現在も継続回収中

【2】メガネ(ビジョンメガネ

ビジョンメガネは不要になったメガネ・サングラスを店頭で回収している(画像提供/ビジョンメガネ)

ビジョンメガネは不要になったメガネ・サングラスを店頭で回収している(画像提供/ビジョンメガネ

 2022年から不要になったメガネ・サングラスを店頭で回収しているビジョンメガネは、ライオンズクラブ国際協会335複合地区ガバナー協議会を通じて、新興・途上国に寄贈する活動を行っている。

壊れていても、子供用でもOKだ。回収当日に限り、メガネ・補聴器が5%オフで購入できる特典あり。

 

【対象】度付きレンズの入ったメガネ、サングラス(他社購入品も可)。※レンズが入っていないフレームのみは対象外


【場所】ビジョンメガネ全店(15都府県101店舗・eyevory by ビジョンメガネを含む)

【3】ガムボトル(ロッテ)

ロッテでは、キシリトールガムなどのプラスチック製ガムボトルの使用済み容器を、スーパー「ライフ」の一部店舗で6~9月末まで回収中

ロッテでは、キシリトールガムなどのプラスチック製ガムボトルの使用済み容器を、スーパー「ライフ」の一部店舗で6~9月末まで回収中

 ロッテでは、キシリトールガムなどのプラスチック製ガムボトルの使用済み容器を、スーパー「ライフ」の一部店舗で6~9月末まで回収中。

 

回収後はミニ買い物カゴに生まれ変わり、ライフの店舗で使用する予定。2023年9~12月に48の団体・企業の協力で行った実証実験では、5264個を回収。ボールペンに再生して協力企業に配布している。

 

【対象】プラスチック製ガムボトル容器(他社製品も可)


【場所】東京のスーパーマーケット ライフのセントラルスクエア押上駅前店、錦糸町駅前店、大崎ニューシティ店

 

【4】キッチンスポンジ(スリーエム ジャパン)

3Mは使用済みスポンジを回収してプラスチック製品に生まれ変わらせる「スコッチ・ブライト スポンジ リサイクルプログラム」を実施

3Mは使用済みスポンジを回収してプラスチック製品に生まれ変わらせる「スコッチ・ブライト スポンジ リサイクルプログラム」を実施

 食器や調理器具を洗うスポンジは、60%以上の人が1か月以内に交換しており、そのほとんどは廃棄されている。これを回収してプラスチック製品に生まれ変わらせる3Mの「スコッチ・ブライト スポンジ リサイクルプログラム」。

カインズなどに回収拠点があるが、個人やグループで2kg以上にまとめれば、無料で回収してもらえる。

 

【対象】使用済みキッチンスポンジ(メーカー不問)をよく洗って乾燥させたもの。※食べかす、油が染みついたものは対象外


【場所】銀座ロフト、ABCクッキングスタジオ、カインズの対象店舗、個人の場合はテラサイクルジャパンに集荷を依頼する

【5】密閉容器&袋(Ziploc

旭化成ホームプロダクツでは、『Ziploc RECYCLE PROGRAM』としてバッグタイプとコンテナータイプの使用済みジップロック製品の回収を行っている

旭化成ホームプロダクツでは、『Ziploc RECYCLE PROGRAM』としてバッグタイプとコンテナータイプの使用済みジップロック製品の回収を行っている

 旭化成ホームプロダクツでは、『Ziploc RECYCLE PROGRAM』として2020年7月からバッグタイプとコンテナータイプの使用済みジップロック製品の回収を行っている。

 

回収したジップロックを100%使用し、ロゴ入りのビニール傘を制作。東急東横線田園都市線の駅に傘レンタル「アイカサ」として設置している。回収プログラムはテラサイクルジャパンを通し、誰でも参加可能だ。

 

【対象】バッグタイプとコンテナータイプのジップロック製品各種。汚れは完全に落とすこと。※他社類似品は対象外


【場所】個人や団体で2kg以上にまとめ、テラサイクルジャパンに回収を依頼(無料)

【6】ステンレス製ボトル(タイガー魔法瓶

タイガー魔法瓶は、使用済みのステンレス製ボトルの回収ボックスを全国のイオンなど400か所以上に設置

タイガー魔法瓶は、使用済みのステンレス製ボトルの回収ボックスを全国のイオンなど400か所以上に設置

 タイガー魔法瓶は、使用済みのステンレス製ボトルの回収ボックスを全国のイオンなど400か所以上に設置し、2030年までに使用済みステンレス製ボトルの回収率10%、リサイクル樹脂を使用したステンレス製ボトルの割合50%を目標としている。

 

ステンレス素材が明白なボトルをまとめて回収することで、リサイクル効率を上げ純度の高いステンレス原料が確保できる。

 

【対象】メーカーや状態にかかわらず、ステンレス製ボトル全般(メーカー不問)。※プラスチックやアルミ製ボトルは対象外


【場所】全国のイオン、イオンスタイル、ハンズ、平和堂など計400か所以上

 

【7】化粧品の空き容器

 国内外のブランドを問わず、化粧品の空き容器の回収を行っているところは多い。

たとえば、KOSEの大表的なブランド「雪肌精」は、スキンケア製品のプラスチック空き容器を回収する「SEKKISEI Earth Beauty Program」を実施。

テラサイクルジャパンの回収プログラムにより付与されるポイントは、サンゴ育成活動費用などに寄付できる。

 

【対象】雪肌精などのコーセーブランドのプラスチック空き容器(スキンケア製品のボトル、ポンプ、キャップ、チューブ、パウチなど)。※ガラス瓶、アルミ容器、紙類は対象外


【場所】Maison KOSE銀座またはイオン直営コーセー化粧品コーナー(全国33店舗)

【8】歯ブラシ(ライオン)

 ライオンでは、2015年6月から「ハブラシのリサイクルに参加できるプログラム」を実施している。2024年5月末までに約163万本の歯ブラシを回収し、植木鉢などのプラスチック製品に生まれ変わらせた。この活動はCSR活動の一環で、主に学校などの教育機関や、歯科医院などの医療機関、有志団体が活動に参加している。回収対象の歯ブラシは、メーカー問わず、家庭から排出されるもののみとなる。

 

【対象】家庭用歯ブラシ(掃除に使ったものも可)。※使い捨て歯ブラシ、電動歯ブラシの付け替えブラシ、天然毛、歯間ブラシは対象外


【場所】参加者が自らエントリーして拠点を登録。2kg(約200本分)から発送可能

【9】羽毛布団(グリーンダウンプロジェクト)

 多くの羽毛布団が焼却処分されているが、羽毛が目的の水鳥の乱獲や、焼却処分時に発生する二酸化炭素の排出抑制のためにもリサイクルして循環させることは重要だ。

 

このプロジェクトでは全国の布団店やクリーニング店、アウトドア&アパレルショップなどで広く回収している。

 

【対象】羽毛布団、寝袋、ダウンジャケット、クッション、マフラーなどのダウン率50%以上の羽毛製品


【場所】グリーンダウンプロジェクトの回収拠点にて

【10】アルミ付き紙容器(日本テトラパック

紙容器大手の日本テトラパックは、スーパーのライフと連携してアルミ付き紙容器の回収を開始(写真提供/日本テトラパック)

紙容器大手の日本テトラパックは、スーパーのライフと連携してアルミ付き紙容器の回収を開始(写真提供/日本テトラパック

 紙容器大手の日本テトラパックは、スーパーのライフと連携してアルミ付き紙容器の回収を開始。店頭や自治体による回収拠点が少なかった関西エリアに注力し、関係各所と連携して回収拠点拡大に取り組み、リサイクル率アップを目指している。

 

【対象】アルミ付き紙パック容器。開いて洗って、乾かしたもの。※洗剤やシャンプーなど食品・飲料以外の紙容器は対象外


【場所】ライフ約160店舗(近畿圏)の店頭にある回収ボックス

 

取材・文/山下和恵

 

※女性セブン2024年7月4日号