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夫の「今日は夕飯遅いね」にどう返答すべきか? 妻が自分の家事負担を減らすために取り組むべき“家事をやらない努力”

「夕飯を作るのが遅くなってごめん」と謝ってしまう人もいるかもしれないが…(イメージ)

「夕飯を作るのが遅くなってごめん」と謝ってしまう人もいるかもしれないが…(イメージ)

 内閣府「平成30年版 男女共同参画白書/6歳未満の子供をもつ夫婦の家事・育児関連時間」(比較は日・米・英・仏・独・スウェーデンノルウェー)によると、

妻の家事・育児の担当時間は欧米の先進国と比べて日本は最も長く、

逆に夫の担当時間は最も短いという結果がある。

 

共働き世帯はこの40年で倍増したにもかかわらず、妻の家事や育児の負担の割合は減らない。この理不尽な現状をどう打開すればいいのか──。

完璧に家事をこなすことが愛情ではない

 読者からのお便りによく見られるのが、“何度注意しても夫や子供が靴下を裏返しのまま洗濯に出す”という悩み。夫や子供が悪いのはもちろんだが、その始末をする妻にも一因があると、家事研究家の佐光紀子さんは言う。

 

「家族のため、完璧に家事をこなすことが愛情だと勘違いしている女性が多いのが問題なんです」(佐光さん・以下同)

 

 靴下の件も、表に戻すことが愛情であり、完璧な家事だと思い込んでいないだろうか。しかし実は、靴下は裏返しのまま洗った方が皮脂や汚れが落ちやすく、色あせや毛玉の防止にもなる。ことほどさように、やるべきでない家事までやり、それを愛情だと思うことで自分の首を絞めていることが実はたくさんあるのだ。

 

「家事は人が自立するための手段。妻が手を出しすぎると家族の自立を阻みます。家族のためを思うなら家事をやらない努力をするべきなのです」

 やらずに見守るのが愛!

 

靴下は裏返しのまま洗った方が皮脂や汚れが落ちやすく、色あせや毛玉の防止にもなる。ことほどさように、やるべきでない家事までやり、それを愛情だと思うことで自分の首を絞めていることが実はたくさんある(イラスト/なとみみわ)

靴下は裏返しのまま洗った方が皮脂や汚れが落ちやすく、色あせや毛玉の防止にもなる。ことほどさように、やるべきでない家事までやり、それを愛情だと思うことで自分の首を絞めていることが実はたくさんある(イラスト/なとみみわ)

家族に悪いと思わず家事を手放そう!

 では、“家事をやらない努力”とは、具体的にどうすべきなのか。まず大切なのは、妻や母側の意識改革だと佐光さんは言う。意識を強制的に変えるための言動としておすすめなのが、

「家族に“悪い”と思うことをやめ、謝らない」

 と話すのは、時間管理術研究家の浅倉ユキさんだ。

 

「“夕飯を作るのが遅くなってごめん”などと、つい家族に謝っていませんか? こうした言動は、私は自分の仕事を怠りましたと宣言しているようなもの。

 

“今日は夕飯遅いね”と言われたら、“本当ね。じゃあ、あなたが作ったら?”と答える。ごめんと謝る代わりに“本当ね”と答えるのがおすすめ。家事のスキルは誰もがつけておかないといけないもの。“やってあげないでごめん”と謝るのではなく、家族が自分でやるよう促してあげましょう」(浅倉さん)

 

 年齢を重ねれば、若いときと同じように動けなくなる。妻や母が一手に背負っていた家事を手放して家族に分散することは、彼らの自立を促すだけでなく、自分の終活にもなるのだ。

 

家事のやり方について家事への口出しはNG

 家族に家事を分担するにはどうすべきか。

「まずは家事がやりやすい環境整備から。そのために家の片づけをしてしまいましょう。物が多くごちゃついた家では、家族も何からやればいいのかわかりません。

 

物を減らして家事が回りやすい環境にしてから、具体的にいつ誰に何をしてほしいか提案するのが効率的です」(片づけアドバイザーの石阪京子さん)

 

 家族も家事をしてくれるようになったら、自分の思う完璧を、家族に押しつけないことも大切だという。

「基本的なやり方を説明したら、後は見守りましょう。

任せることで自分のやり方を見つけるので、口出しはNGです」(佐光さん)

 

 家事は妻や母だけがやるべきものではないという認識を家族と共有し、やってはいけない家事からは足を洗う。もう、妻や母だけが“家事の奴隷”になる必要はないのだ。

 

 

【プロフィール】
家事研究家・翻訳家 佐光紀子さん/重曹や酢など自然素材を使った掃除講座のほか、翻訳家としての経験から海外の家事事情などの研究も行う。『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社新書)など著書多数。

 

時間管理術研究家・料理研究家 浅倉ユキさん/「主婦のストレス値を下げる」をテーマにさまざまな事業を展開。「全日本ズボラ主婦連盟」の代表を務める。近著に『あな吉さんの家事をやめても愛されるズボラ主婦革命』(1万年堂出版)。

 

片づけアドバイザー 石阪京子さん/宅地建物取引士、不動産会社の経営者として家づくりにかかわるなか、顧客のための「片づけメソッド」が評判を呼び、現在は全国各地でレッスン・講演を行う。近著に『人生が変わる 紙片づけ!』(ダイヤモンド社)。

 

取材・文/植木淳子

 

※女性セブン2024年5月2日号