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失敗しない“病院”“主治医”の選び方 「新薬を出したがる」「院長の写真がHPにない」は注意、チェックすべきは「2番目に掲げている診療科」

(写真/PIXTA)

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「お医者さま」といえど、同じ人間で、“神様”ではない。あまりに過信していると、病気を治しに行っているのに命の危険にさらされることだってある。

 

ハズレを引かないためには、どうすればいいのか──それは、失敗しない見分け方を学べばいいだけ。替えてみる、その決断をするためのポイントを解説しよう。

かかりつけ医を替えて脳梗塞が見つかった
 前編で触れた神戸徳洲会病院では、1人の男性医師がかかわった手術で複数の事故が起きていると報道されている。つまり、いくらいい病院でも、主治医となる医師に問題があれば元も子もないということ。

 新潟大学名誉教授の岡田正彦さんは、「患者の話に耳を傾けず、質問に答えない医師はすぐに替えた方がいい」と話す。

「よく耳にするのは“話をちゃんと聞いてくれない”“質問したら怒られた”というもの。

意見を言うと、“そんなことを言うなら悪くなっても知らない”“不満があるならほかの病院に行きなさい”と怒る医師もいますが、これは一種のパワハラです」(岡田さん)

 ティーズ内科クリニック院長の土山智也さんも声を揃える。

「最も気がかりなのは、患者さんが質問をしたときにムッとして、自分の意見が絶対に正しいという言い方をする医師。

 

そういうときは、患者さんの症状が医師の専門領域を超えてしまっていて、それに対応できる知識や経験を持ち合わせていない可能性がある。

 

“専門外なので、ほかの病院で意見を聞いてください”と紹介状を書いてくれるような医師なら安心ですが、自分が弱い分野を認めない医師はおすすめしません」


 受け答えに加え、診察時に医師の体が患者に向いているかどうかも見極めポイント。患者の顔を見て診察する医師に命を救われたと話すのは、会社員のEさん(41才)だ。

「以前のかかりつけ医は、地域でカリスマと評判のベテラン医師でした。

でも、診察中はただパソコンを見て、私の話を打ち込むだけ。処方される薬もあまり効かずに、ずっと疑問を持っていました。

 

そのうち近所に新しいクリニックができたので替えたところ、新しい先生は若いけれど、ちゃんと顔色や皮膚などを診察してくれる。

 

 

危ない「病院」「主治医」チェックポイント

危ない「病院」「主治医」チェックポイント

 

 そんなある日、頭痛で受診すると“すぐに大きな病院を受診してください”と言われ、軽い脳梗塞を起こしていたことがわかった。私の顔がいつもよりゆがんでいて、話し方も違っていたことで気がついたそうです。前の医師だったら、見逃していたと思います」

 

 臨機応変な対応ができてこそ名医といえるだろう。その点、かたくなに処方を守ろうとする医師は危険だと医療ジャーナリストの村上和巳さんが指摘する。

生活習慣病不眠症など一般的な病気の多くには、治療で選べる薬が複数あります。本来は、効果や副作用などを見極めながら状態に応じて医師が選択すべきですが、自分が使い慣れた薬をひたすら使おうとする医師はいます。患者が副作用を訴えても、理由もなく使い続けるような場合は病院を替えた方がいい」

 新薬ほど効果があると思うが、必ずしもそうではない。「新薬を出したがる医師には理由をよく聞いた方がいい」と岡田さんは言う。

「新薬には発表されたばかりでまだ周知されていない副作用が出るリスクがあるので、できるだけ避けるべき。しかし、製薬会社の売り込みに影響され、一面的な効果だけで処方する医師は少なくない」

 村上さんは自身が医療機関を選ぶ際、ある薬の処方を試金石としているという。

「風邪のような症状でかかったときに、安易に抗菌薬を処方する医師なら、次は別の医療機関に行きます。

 

というのも、風邪の原因はウイルスですが、抗菌薬は細菌感染に対して使う薬。

のみすぎると耐性菌を作る原因にもなり、いざ感染症にかかったときに薬が効きづらくなる。

 

ただし、風邪のように見えて細菌感染のこともあるので、理由を聞いて納得できる説明があるなら問題ありません」

院長の顔が見えない病院は信頼できない
 あなたがいま通っている「病院」「主治医」に、これまで見てきた特徴が当てはまっていたらすぐに替えることを検討してほしい。次の病院を選ぶ際、同じ轍を踏まないために押さえておくべきポイントがある。

 医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは院長の顔が見えるかどうかを確認するべきとアドバイスする。

代表者である院長がホームページなどに自分の写真を出して診療にあたる病院は、責任をもって医療に取り組んでいるといえる。翻って言えばトップの顔が見えない病院は、不測の事態が生じたときに医師の説明責任が果たされるか疑問です」(室井さん)


いざ転院するときは、通っている病院に紹介状を書いてもらえばスムーズだが、そもそも“替えたい”と疑念や不安のある病院や医師に依頼すること自体が負担となる人も多いだろう。

「画像や治療経過など前の病院でのデータがあれば、次の病院での治療が円滑に進みます。何か見落としがあれば見つけやすいし、無駄な検査も防げる。

 

しかし、病院を替えたいことをなかなか言い出せない人もいる。どうしても言い出しにくいときは?も方便で、“勤務先が変わった”“引っ越す予定”などと伝えると穏便に転院できます。近所の病院に転院したい場合は宛名なしで書いてもらえばいい」(村上さん)

 クリニックなど個人病院を選ぶ場合、土山さんは、「掲げる科の2番目を見てほしい」とアドバイスする。

「順番にはこだわりがあり、泌尿器科の医師が開業する場合でも、とりあえず最初に『内科』として間口を広げて、2番目に『泌尿器科』など自分の専門分野をつける。

 つまり、2番目に医師の専門性が表れるのです」(土山さん・以下同)

 病院を替えるのはいいが、ドクターショッピングはほどほどに。

「医師も人間。短期間にいくつも病院を替えていたら、“どうせすぐに病院を替える”という態度になってしまいます。

 それに医療機関は純粋なサービス業ではありません。患者は医師にとって“お客さま”ではないし、医師にはプライドが高い人が多い。お互いに物腰を柔らかくすれば、いい関係が築けます」

 村上さんは、「結局は相性の問題」だと話す。

「いわゆる“ヤブ医者”はそんなに多くありません。口下手な医師もいるので、患者側も努力してコミュニケーションを尽くしてみること。そのうえで納得がいかなければ転院を考えるといいでしょう」

 医師や病院に任せきりにせず、自分の目で見極め、行動することが健康長寿につながる。

(了)

※女性セブン2024年4月25日号