2022年11月に出玉性能の規制が緩和されたスマートパチスロ(スマスロ)が導入されたことで、再び盛り上がりを見せているパチスロ業界。
スマスロでは、6号機や6.5号機の出玉規制では難しかった“一撃1万枚”といった大きな出玉を獲得する可能性のある機種もあり、比較的射幸性が高い機種に人気が集まる傾向がある。
そんななか、2024年10月21日から全国導入されたのが、大都技研のスマスロ『Re:ゼロから始める異世界生活 season2』(以下、『リゼロ2』)だ。全国での導入台数も圧倒的で、なおかつ一撃性の高い機種として期待されていたが、蓋を開けてみるとユーザーからは厳しい評価の声も聞こえてくる。
『リゼロ2』の前作にあたるパチスロ『Re:ゼロから始める異世界生活』が登場したのは、2019年3月のこと。
当時は、5号機と呼ばれるパチスロ機の射幸性が高くなっていたことを受けて、出玉性能が抑えられた6号機の時代に突入した時期であったが、『Re:ゼロから始める異世界生活』は5号機を超えるほどの出玉速度で人気を博した。いわば、パチスロ冬の時代だった6号機初期を支えたのが初代リゼロだったのだ。
さらに2022年1月にはパチンコ『P Re:ゼロから始める異世界生活 鬼がかりver.』が登場し、こちらも大ヒット。そういった流れを受けて、満を持しての登場となったのがスマスロ『リゼロ2』。当然ながら、ユーザーからの期待も大きかった。パチンコ・パチスロ事情に詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏はこう話す。
「6号機時代のパチスロは、なかなか大きな出玉を獲得するのが難しく、“全然勝てない”というイメージが強かったわけですが、初代の『リゼロ』についてはAT(アシストタイム。出玉が増える機能)での1ゲームあたりの純増枚数が8枚という出玉速度が支持されていました。
5号機時代の1ゲームあたりの純増枚数が3枚以下だったことを考えると、かなりの出玉速度だと言えます。
短時間での勝負ができるし、一度ATに入れてしまえば、そこそこの出玉も期待できるということで、仕事帰りにホールに寄って打つサラリーマンたちにも人気でした。
そういう『リゼロ』の後継機として『リゼロ2』に対する期待はかなり大きく、事前に噂されていた販売台数も2万5000台というとんでもない数字です。
最近のスマスロでは1万台の販売でも多い方ですから、メーカーとしても自信があったということでしょう」(以下、「」内同)
今回の『リゼロ2』では、AT中の純増枚数は前作を上回る1ゲームあたり9枚。
さらに一撃数千枚の獲得も期待できる上位ATも搭載されており、前作に比べて格段に出玉の爆発力は高まっている。
ATは楽しいけど通常時は…
しかし、実際に『リゼロ2』が導入されると、必ずしもユーザーの評価は高くはなかった。多くのパチスロ系YouTuberが『リゼロ2』導入直後に実戦動画を公開しているが、大きな出玉を獲得するまでのハードルの高さを目の当たりにし、大敗を喫するパターンが多い。
また、出玉速度の速いATに入れば楽しいが、そこに至るまでの“通常時”で楽しめるポイントが少なく、退屈だという声も少なくないのだ。
さらに、ネットユーザーが機種についての評価を投稿することができる「DMMぱちタウン」における『リゼロ2』の評価を見てみると、5段階評価で1.77(326件の投稿。11月27日時点)だった。
「ユーザー評価の場合、負けた人が低い点をつけるケースが多く、高くなりにくいという傾向がありますが、DMMぱちタウンであれば、2点を超えれば及第点、3点近くまで行けば高評価というイメージです。
『リゼロ2』については、射幸性が高く大きく負けることも多いので、評価が低くなってしまうのは仕方ない部分もあると思います。
また、これまでのパチスロ・パチンコの『リゼロ』シリーズの人気の高さから、期待値が高くなりすぎてしまったからこそ。厳しい評価になったという側面も否めない。
ただ、導入台数が多い『リゼロ2』をホールとしてはできるだけ長く使いたいという願いもあり、せめて2点台にはなってほしかったというのが本音でしょう」
大ヒット作・スマスロ北斗の拳との違い
ATの出玉性能が高いが、通常時は単調だというメリハリのあるシステムが仇となったといえそうな『リゼロ2』。とはいえ、このようなタイプの機種には一定層の需要もあるという。
「一撃の出玉がある機種は、それなりに支持されると思います。通常時つまらなかったとしても、しっかりとした出玉が期待できるのであれば打つというパチスロユーザーも少なくない。
いわば極端なゲーム性ですが、色々なタイプの機種を選べるという状況は、ユーザーの裾野を広げるという意味でも重要であり、だからこそ『リゼロ2』もホールが上手く使っていく余地はあるはずです。
ただ、こういったハイリスク・ハイリターンな機種がホールにおけるメイン機種になってしまうと、ユーザーにしてみれば“お金がいくらあっても足りない”という状況になりかねない。
それなりの射幸性がないと人気がでないという現実がある一方で、“楽しく遊ぶ”という要素も重要。
たとえば、スマスロで現時点での最大のヒット機種は『北斗の拳』ですが、こちらは意外とマイルドな出玉推移をする機種なんですよね。
初心者を含めて、より多くのユーザーから支持されるには、遊びやすさが必要だということ。『リゼロ2』についての現状を評価するならば、スペックが悪いとかそういうことではなく、“ハイリスク・ハイリターンなシステムにしては販売台数が多すぎた”というのが冷静な見方だと思います」
必ずしもユーザーの期待どおりとはいかなかったといえる『リゼロ2』だが、今後のパチスロ業界に対してひとつの学びを与えたのは間違いなさそうだ。