物価高の中、追い打ちをかけるように電気料金の値上がりが襲い掛かろうとしている。再生可能エネルギー普及のため負担する「再エネ賦課金」が、4月から引き上げられた。
加えて、政府が物価高対策として2023年1月に導入した電気代・ガス代の補助金が、5月使用分でほぼ半減になり、6月以降は終了する見込みだ。
賦課金の増加と補助金廃止により、電気料金の値上げが懸念される中、リモートワークをしている人からは、先行きを不安視する声も相次いでいる。
「猛暑手当」を出してほしい
「コロナ禍をきっかけに、すっかりリモートワークが定着しました。最初はラクだなと思ったのですが、ずっと家にいるのでトイレットペーパーやコーヒーの消費が激しくなる。昨夏はエアコンをつけっぱなしにしていたので、電気代もかかりましたね」
そう嘆くのはIT系企業で働く30代女性・Aさん。Aさんの会社では、リモートワークにかかる費用は「自己負担」となっており、「光熱費の補助があってもいいのに」と不満をもらす。
「PCは会社支給のものですが、通信費は自腹。通勤費はすべてなくなり、出社日だけ申請というスタイルです。通信費は、家では光回線をひいているので使う量に関係ないためまあいいとして、光熱費がバカになりません。
去年の夏はこれまで見たことのないような電気料金が請求されて、びっくりしました」(Aさん)
そんなAさんは、今から「今年の夏が怖い」と言う。
「寒さが厳しいところには寒冷地手当があるのだから、夏には猛暑手当として、電気代の補助があってもいいと思うんですよね。
エアコンがないと仕事ができないんだし……。
せっせと会社に行ってもいいんですが、それはそれで面倒なので文句も言えない」(Aさん)
会社の経費が減っている分、手当も増額してほしい
テレワーク手当が支給されていても、不満を感じる人もいる。IT企業勤務の40代男性・Bさんは、「手当を増額してほしい」という。
「私の会社では1日200円くらいの手当がもらえます。ありがたいのですが、これから夏に向けて電気料金も上がっていくんだから、それに応じてテレワーク手当を増額してくれないかなと思ってしまいますね」
Bさんが勤務する会社では在宅勤務を推進している。
「会社側としては、リモートワークを推奨することで、『経費削減』につなげたいという狙いがあるようです。すでにオフィスは以前より狭い場所に移転しています。
通勤定期代を支給しなくてすむし、オフィスの賃料や光熱費を最小限に済ませたいんだろうと思います。会社の経費は減っているのに、社員個人の負担ばかりが増えていくのは納得がいかないですよね」(Bさん)
電気代の負担、出社に比べればマシ
電気代高騰が予想される中、リモートワークする人たちの悲鳴も聞こえてくるが、「それでもリモートワークはやめられない」という意見もある。IT企業に勤務する20代男性・Cさんは、「出社しないメリットは大きい」と語る。
「リモートワークで通勤時間がなくなり、自由な時間が増えました。もうわざわざ夏場に汗だくで通勤したくないです。個人的には、電気代が自腹であっても、エアコンをつけてリモートワークの方が気がラク。電気代の負担は痛いですが、だからといって出社勤務に戻りたくはないですね」
Cさんは、「会社に行くほうがお金がかかる面もある」と持論を展開する。
「会社に行くとなると、多少きれいな格好をしなくちゃいけないし、毎日同じ服というわけにもいかず、まず衣服にお金がかかる。
髪や髭だって整える必要が出てきます。
でもリモートワークならそんなの気にしなくていいし、髭だって適当。
昼ご飯だって、リモートワークだと適当に済ませられますが、会社に行くとなんだかんだ外食や弁当などでお金がかかります。そう考えると、電気代の値上がりを我慢してでもリモートワークを続けたいです」(Cさん)
リモートワークを続ける人にとって、光熱費は避けられない問題。“試練の夏”になりそうだ。(了)