2023-05-30 現役医師が選んだ“診てもらいたい”「がんの名医」リスト すい臓がん、大腸がん、前立腺がんのトップランナー 気になった記事 現役医師に「自分が患者なら診てもらいたい医師」を聞いた(イメージ) 医療の進歩によって、様々な疾患が“治る病気”になりつつある。その際に鍵を握るのが、“医師の選択”だ。しかし、誰が名医であるかの情報は乏しい。それを知るために同じ医師たちに総力取材した。 海外から技術指導の依頼 本誌・週刊ポストは著名な現役医師に取材し、「自分が患者なら診てもらいたい医師」を聞いた。自分の身体を預けたいと思える名医は誰か。総勢63人をリスト化、紹介していく。 日本人の死因第1位である「がん」。その手術をリードする“ゴッドハンド”の名を挙げたのは医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師だ。 「順天堂大学医学部附属順天堂医院の齋浦明夫医師は、手術数の実績が6000件以上と頭抜けている。がんの世界において執刀数が多いことは、医師の治療技術に対する患者の信頼の証です」 すい臓がん手術のトップランナーである齋浦医師本人はこう語る。 「件数の多さは、20年間、毎日同じペースで手術を積み重ねた結果です。肝胆膵がんは未完成の領域のため、長年腕を磨き、薬物治療の進化や新技術にも対応してきた。教授になりましたが、やることは若い頃と変わりません。手術を中心に、いかに治せるか真摯に向き合う。最近はその姿勢を若い先生に伝えることを大切にしています」 そんな齋浦医師が「技術がすごい」と称賛するのは、日本医科大学付属病院の上原圭医師。大腸がん手術の第一人者で、世界的に注目を集める存在だ。上原医師が言う。 「名前を挙げていただけるのは、私がメインに行なう手術が、直腸がんでも難度の高い骨盤拡大手術など、がんの切除が困難な骨盤内の手術だからでしょう。海外からも『技術を伝えてほしい』と呼んでいただいたり、国内でも『なんとかできないか』と依頼を受けて手術をしたりしています」 他院で「切除不能」と断わられた患者が、セカンドオピニオンで訪ねてくることもあるという。 「手術してみないとわからないことも多くある。覚悟を決めた患者さんに医療が何をできるのかという自問自答を繰り返し、毎日患者さんに向き合っています」(上原医師) 名医が選ぶ「日本最高の名医」【その1】 同じ大腸がんの名医で「実の兄」を推薦したのが豊島治医師(とよしま内視鏡クリニック)だ。 「日本赤十字社医療センターの豊島明医師は兄ですが、同院に25年ほど勤め、そこに根を張って患者に寄り添う医療を続ける姿は尊敬に値します」 前立腺がんの名医を挙げたのは、東京国際クリニックの高橋通院長。 「NTT東日本関東病院の志賀淑之医師ですね。術後の負担を減らす臓器温存手術を大事にしていて、泌尿器科部長とロボット手術センター長を兼任しています」 泰江慎太郎医師(銀座泰江内科クリニック)はがん治療の最先端の研究に取り組む医師を選んだ。 「私がかかりたいのはがん研有明病院の北野滋久医師。先端医療開発科部長・がん免疫治療開発部長という役職。その名の通り、新しい治療法(新規薬剤)を部位の垣根なく開発しながら診療にもあたっている。最適な治療法を選択できる方だと信頼しています」 ※週刊ポスト2023年6月9・16日号