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《もう食べ終わっているのに…》空いた皿やグラスを「下げさせてくれない」客への飲食店員の悩み “まだ居座りたい”意思表示なのか、客側の言い分は

ドリンクバーのカップやグラスの数にも限界はある

ドリンクバーのカップやグラスの数にも限界はある

「お済みのお皿をお下げしてもよろしいでしょうか?」――飲食店で食べ終わった皿がテーブルに乗っていれば、従業員から尋ねられるのはよくあること。食べ終わった・飲み終わったものなら片付けてもらう人が多いだろうが、たとえ「空」であっても頑なに拒否する客もいて、店員たちを悩ませるケースもあるようだ。

 先日、ファミレス店員だという人物のXの投稿から、その存在に注目が集まった。

投稿によると、店員はドリンクバーを利用した空きグラスを回収するため、客に声をかけたところ、「机がいっぱいになるまで片付けないでほしい」と言われて困惑したという。

 

飲食店で「空いた皿やグラスを下げさせない客」には、一体どういう事情があるのか。店員・客の双方の声からその実態を探った。

グラスをテーブルいっぱいに並べる“迷惑行為”

「いくらグラスの交換が自由とはいえ、限度があると思う」

 そう語るのは、都内のファミレスで働く20代女性・Aさんだ。

 

Aさんが働いている店ではコロナ禍以降、感染対策からドリンクバーを利用するたびにグラスの交換を促すようになった。Aさんは「ただでさえスタッフの仕事が増えたのに……」とため息をつく。

 

「衛生面のことも考えて、グラス交換を推奨するようになったのですが、スタッフがテーブル上の飲み終わったグラスを交換する手間が単純に増えました。

一方で、十何個もテーブルいっぱいにグラスをためこむ人がたびたび現れるようになりました。

 

 空のグラスを下げようとすると、『まだいい』と言うのです。

なぜかなと思っていたら、ある時『シャンパンタワー作ろうぜ』という声が聞こえてきて、スマホで撮影しているようでした。

ドリンクバーに使うグラスの数に決まりはないのですが、本当に迷惑でした」(Aさん)

 

スマホを見続けようと「空いた皿、下げなくていいから」

 グラスだけでなく「皿」を下げさせない客もいる。洋風居酒屋に勤務する30代男性・Bさんは、「中間バッシングは基本中の基本なので、拒否されるのは困惑します」と語る。

 

「食事中に空いた皿やグラスを下げる『中間バッシング』(中間下げ)は新人の頃、よく叩き込まれました。

料理や飲み物を置くスペースを確保し、お客様のテーブルはなるだけ綺麗な状態にしておくようにする。追加のドリンクや注文を伺う役割もあります。

 

 もちろん、食べ終わった直後に皿を下げると、お客様から『帰りを急かされている』と思われかねないので、タイミングは気をつけます」

 

 そうした店員の配慮とは裏腹に、客から「空き皿は下げないでくれ」と言われることがままあるという。

どういう時か。

 

「夜ふらっと来た男性のお客様で、アルコール1杯とパスタを頼まれました。パスタは早々に食べ終わっていたので、皿を下げようとすると、『下げなくていいから』と。

 

しばらくしてドリンクもグラスが空だったので、追加を聞きに伺いましたが、追加注文はなし。皿やグラスについては『そのままにしておいて』と念押しされました。

 

 なぜ下げさせてくれないのか不思議だったのですが、その男性はずっとスマホで何かを見ていたので、それをもう少し見ているためにはお皿を下げられないほうが店にいやすいと思っているのかな、と理解しました」(Bさん)

 

全部食べ終えるまでは「一つの食事」

なぜ従業員に空いた皿やグラスを下げさせたくないのか。過去に回収を断ったことがあるという20代男性・Cさんは、「全部食べ終えるまでは、空のお皿も“僕のもの”じゃないですか?」と逆に問う。

 

「たとえば定食屋さんとかでは、ご飯とかお味噌汁とか、全部を食べ終えてからお皿はまとめて片付けると思うんですよ。あの感覚と同じです。全部食べ終えるまでが食事なんで、その間は、呼んでもないのに誰かにテーブルまで来てほしくないというか……」

 

 皿やグラスを下げさせない客側の言い分もあるようだが、グラスをためるような“遊び”はいただけない。最低限のマナーだけは守って食事を楽しみたいものだ。(了)