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50歳・億り人が見据える“老後の投資計画” 「投資信託の取り崩しは命取り」と考える理由の数々

億り人・おけいどん氏は老後の資産プランをどう見据えているか(イメージ)

億り人・おけいどん氏は老後の資産プランをどう見据えているか(イメージ)

 人生100年時代を迎え、老後の資産計画をどうするか――。

これは“億り人”も例外ではない。

高配当株・増配株を長期保有する「ぐうたら投資」で資産1.8億円を築いたおけいどん(桶井 道)氏は現在50歳で、60代以降の資産計画もしっかり見据えている。

 

新刊『おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』より、高齢になっても実践できる持続可能な「仕組み化」された投資法と共に資産計画を紹介する。【前後編の前編】

60代後半から投資スタイルを変える

 私は、現在、世界30カ国の高配当株および増配株、ETF、リートを約100銘柄保有しています。優良銘柄から配当金を得ること+株価上昇を狙うこと、さらに(正直に告白しますと)株式コレクションをエンジョイしながら「桶井 道ホールディングス(会社ごっこ)」を作ることも目的にしています。

 

ただし年齢とともに、「ぐうたら投資」を軸にしながらも、投資対象を変えていきます。

 80代にもなると投資判断が鈍るでしょうから、その前に60代後半以降で外国株から先に、東証ETFもしくは米国ETFに多くを移すつもりです。 

 

日本株は個別株20~25銘柄くらいに分散投資にするのか、東証ETFに多くを移すのかを今後考えていきます。

 

 個別株の比率は年齢とともに減らすつもりです。もし、このまま世界中の多くの個別株を持つとすれば、ものすごい数の銘柄に分散することで万が一に備え、ぐうたらできるようにします。いずれにしても「ぐうたら投資」による「仕組み化」は生涯貫きます。

 

 高配当株および増配株、ETF、リートにより、「配当収入+公的年金>生活費」の体制を構築する=「仕組み化」することで、元本の取り崩しが発生しないようにします。

 

 元本を取り崩すのは大きな買い物をするときだけ、基本的に配当金(と公的年金)で生活すれば100歳になっても、超えても「安全圏」。持続可能な「仕組み化」を目指しているのです。

 この方法なら、投資信託のように取り崩しが発生しません。それが老後最大のメリットです。

 

 

投資信託の取り崩しは命取り

ここで取り崩しについて私の考え方を書かせてください。私は、投資信託の取り崩しは難しいと考えます。

●【理由1】平常心を正常に保てない

 暴落相場で評価額が下がるなか、平常心で取り崩すのはきっと無理。相当不安になるでしょう。たとえば、6000万円分の投資信託保有しているとします。1ヶ月で5%下落すれば、額にすると300万円にもなります。

 

 評価額300万円の減少を見ながら、平常心でその月の生活費を取り崩せるのでしょうか? より実感がわくようにリアルな暴落話を入れましょう。

 

 S&P500の下落率(月次ベース)は、ITバブル崩壊のときで46.3%、リーマン・ショックのときで52.6%、コロナ・ショックのときで20%にも達しました。

 

 私ならこの状況下での取り崩しは不安でとても無理です。

●【理由2】寿命まで不安なまま生きなくてはならない

 毎月取り崩していくと資産は減っていきます。寿命までに資産が枯渇しないか不安にならないでしょうか? 私なら(きっと、あなたも)80歳になって、65歳のときより減ってしまった投資信託を見て、不安になるでしょう。

 

「今のあなた」は給与収入があり実感がわかないかもしれません。ところが、老後は給与収入がなく、公的年金と運用資産に頼ることになります。

 

 運用資産が枯渇するかもしれないという不安は「老いたあなた」にはとても大きいものになるでしょう。「長生きリスク」を自ら感じるような人生にはしたくないものです。

 

●【理由3】正常な判断ができない

 60代~70代では可能として、80歳になっても正しい取り崩しの判断ができるでしょうか? 私は、高齢になって判断力が鈍り投資家を引退した父を見ましたので、かなり難しいと思います。

●【理由4】「自動取り崩しサービス」の不安

 証券会社によっては、投資信託の出口戦略として「自動取り崩しサービス」を提供しています。いったん設定すれば、生涯、自動で取り崩せます。これが一見「仕組み化」のように思えなくもないです。

 

とはいえ、これも取り崩すというタスクを自動に委ねているだけで、取り崩すこと自体には変わりがありません。理由1、理由2の不安はやがて出てくるでしょう。

 

 さらには、「自動取り崩しサービス」で、たとえば65歳で設定した取り崩しの「率」なり「額」なりが、生涯そのままでいいとは限りません。老いて判断ができなくなった自分が、そこに気が付けるでしょうか?

 

 そして、気が付いたとして、新しい設定をどの「率」やどの「額」にするのが正しいのか、さらには、白内障や老眼で視力が落ち、かつ手指も自由に動かないなかで、正確にスマホやPCを操作して再設定できるでしょうか? 私は父を見ているので、そうは思えないのです。

 

「今のあなた(私も)」には当たり前にできることも、「老いたあなた(私も)」には当たり前ではないのです。

 

 繰り返しになりますが、私は、父が老いて投資判断が衰え、投資家を引退した姿を目の当たりにしていますし、介護してきましたので、これが誰よりもわかります。

 

持続可能な「仕組み化」の最適解は、配当金生活

 心配事を言い始めるときりがありませんが、内閣府発表の「令和4年版高齢社会白書」によると、75歳以上の高齢者が要支援か要介護になる割合はおよそ3人に1人です。この数字を見ますと、判断能力が落ちる、目や手が不自由になるというのは決して他人ごとではないことがおわかりいただけると思います。

 

 また、年齢とともに、このリスクが上がることも容易に想像がつきます。たとえば、「今のあなた」は『バール』と『パール』の見分けが付くでしょう。それがわからなくなるのが「老い」です。

 

 従いまして、これからの時代には、持続可能な「仕組み化」された投資法が好ましいでしょう。個別株やETFから配当金(分配金)をチャリンチャリンと貰って、生活費にすることが私のファイナル・アンサーです。

 

 この方法なら、高齢になって個別株が不安ならETFに全シフトする、または優良個別株のみを残して多くをETFにシフトすることで持続可能です。ものすごく多くの個別株に分散投資することで一つひとつの影響度を低くすれば、それも選択肢になるかもしれません。

 

 ただし、私は投資信託がまったくダメと言っているわけではありません。お金を増やすということに注目すれば、投資信託は良い金融商品です。分配金を出さずに自動で再投資してくれる投資信託なら、効率的にお金を増やせると思います。そこは否定しません。

 

 ですから、今が資産形成期で、新NISAのつみたて投資枠やiDeCo などで投資信託の積み立てをしている人は、やめずに続けてください。

 

 私は金額の目標も決めています。現在、資産1億8000万円+年間配当(手取り)240万円(2024年見込み)です。これを、60歳までに、資産2億円以上+年間配当300万円まで伸ばします。

 月額にして、配当金25万円+公的年金11万円(早期退職しましたので金額が少なくなります)で生活する計画なのです。配当金を「じぶん年金」として位置づけて、育てています。

 

この60歳時点の目標と現状のギャップをどう埋めるのかを常に考えながら行動しています。こうすることで、目標とベクトルと行動が一致します。このゴールベース思考が大切だと思います。

 

(後編につづく)

 

※桶井道・著『おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』を元に一部抜粋して再構成

 

【プロフィール】
桶井道(おけい・どん):個人投資家(投資歴25年)・物書き。1973年生まれ。世界中の優良株・ETF等を約100銘柄保有し、高配当株および増配株を買ったら放置する「ぐうたら投資」を極めてから資産成長を加速させる。2020年に資産1億円達成すると同時に早期退職を実現、2024年にはピークで資産1.9億円に到達。最新刊は『資産1.8億円+年間配当金(手取り)240万円を実現!おけいどん式「高配当株・増配株」ぐうたら投資大全』(PHP研究所)。