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ダイソンのコードレス掃除機、一年使って見えてきた欠点

一年使えば見えてくるほころび
イヤホン、掃除機などコードレス化が著しくなってきましたが、まだちゃんと使えるものを探すのには苦労しますよね。米Gizmodoでは去年、Dyson(ダイソン)のCyclone V10をレビューし、「アパートサイズの家ならコードと完全にオサラバできるかも」と好意的に評価していました。米Gizmodoの記者の一人、Adam Clark Estes氏は以前からダイソンのコードレススティック掃除機を使っており、期待を胸にV10にアップグレードしました。


さて、使い続けて一年、今でもV10に首ったけでしょうか?
去年の春にDyson Cyclone V10(ダイソン・サイクロンV10)が登場した時は非常に興奮したものです。私の同僚は「あまりに良すぎて、ケーブル有りの生活が考えられなくなる」と高評価していました。さて、私はCyclone V10を一年使っていますが、確かに良い部分はあるものの、パワフルすぎるのかも知れません。Dysonが再設計したのも頷けます。


新しいモデルほど吸引力が強い
ダイソンのモデルナンバーがよく分からない方のために説明すると、コードレススティック型のVシリーズは300ドル(約3万2000円)以下のV7 Motorheadに始まり、600ドル(約6万5000円)のCyclone V10 Absolute、そして700ドル(約7万6千円)のV11 Torque Driveまで幅広く揃っています(V11については後述)。


コードレス型の中で最安のモデルとCyclone V10の最も大きな違いは、毎分12万5千回転するモーターによる吸引力です。V10はモーター、サイクロンアレイ、ダストコンテナが一列になるように設計されています。ダイソンによると、そうすることでV10は400ドル(約4万3千円)のV8に比べて20パーセント吸引力が向上したとのこと。また、V10のコンテナは他のコードレス掃除機よりも40パーセント大きく、空にするのもより簡単です。Vシリーズの中でどれを買えば良いのか分からないという方に簡単に説明すると、Cyclone V10は「高価な吸引モンスター」で、V8やV7はそれよりやや大人しい掃除機です。


パワーと引き換えになった、バッテリー持ち
ただ、強力な吸引力には代償がついています。V10を使ってすぐに気が付いたのは、フルパワーで使っているとバッテリーの持ちが壊滅的だということです。なんと、10分以内に尽きてしまいます。ブルックリンの700平方フィート(65平方メートル)のアパートに住んでいて絨毯が一枚しかない私にはそれでも問題はないはずなのですが、全ての床と犬の毛に覆われた家具を一度に掃除しようとすると、途中で止まります。回避する簡単な方法としては、3段階のパワー設定で一番低くすれば40分は持ちます。ただ、Cyclone V10のバッテリーのメーターにはライトが3つしかないので、具体的にどれほど残っているのかが分かりにくいという問題もあります。


このパワー対バッテリーの関係の困ったところは、汚れの量に対してどれくらいのパワーが適切なのかが全く分からないことです。フルパワーで使うのは、豪快な音も含めて非常に爽快なので使いすぎることがしょっちゅうでしたが、これはバッテリーに悪影響なのが想像できます。ちなみに、不可能ではないものの、バッテリーの交換は簡単ではありません。こうなると、Cyclone V10の強力なハイパワーモードはむしろない方がよかったとすら思います。


妙な使いにくさ
Cyclone V10のもう一つの大きな問題点は、どういうわけか使いにくいことです。新しい大きなダストコンテナは、大量に吸い取った後には非常に便利です。過去のV6 Absoluteでは掃除機の中に手を入れて髪の毛を取り出さなければならなかったのですが、再設計されたリリースラッチのおかげで簡単にゴミ箱に捨てられるようになったのは、買って最初の数ヶ月は非常にありがたかったのです。V10のコンテナは正面からパカッと開くので、向けた方向にゴミが飛んでいきます。しかし、コンテナと本体をつなぎとめるためのラッチが時間と共に弱って行くようなのです。つまり、今はコンテナを空にしようとすると、本体から外れてゴミ箱に落ちてしまいます。なので、中を漁ってコンテナを取り出さなければなりません。かなり鬱陶しいです。


そしてフィルターの問題もあり、こちらはハッキリ言って危険だと思います。Cyclone V10の後ろ側にはエアフィルターがあり、1ヶ月に一度掃除しなければいけませんが、フィルターのカバーは不透明なので、現在どれくらい汚れているかが全く分かりません。それもあって、私は気づかないまま11ヶ月使っていました。そしてようやく掃除したときも、マニュアルを全く読みませんでした。どうしたかというと、フィルターを外すと「水につけろ」と指示するアイコンが描いてあったので、その通りにし、フィルターを本体に戻しました。そして掃除機のモーターを付けるためにトリガーを引いたのですが、V10は故障してしまいました。


ここで学んだのは二つ。その1:ダイソンを買うなら説明書をちゃんと読むこと。掃除機自体は非常にユーザーフレンドリーですが、メンテナンスは意外に繊細さが要求されます。その2:濡れたエアフィルターをダイソンに接続しないこと。インターネットで調べ、その後ダイソンのサポートで確認をとったところ、濡れたフィルターはモーターをショートさせ、完全に壊してしまうそうです。また、濡れたフィルターを付けると保障対象外となり、自費修理しなければならなくなる可能性があります。私は幸いにもそうする必要はありませんでした。フィルターを三日間乾かした上でもう一度つけて見るようサポートに言われて、そのようにしたところV10は復活したのです。


些細なことから深刻なものまで、上記の問題全てを考慮しても、V10が私が今まで使った中で最もパワフルなコードレス掃除機なのは疑いようがありません。より安価なV7やV8より強力で万能なのです。さらに、ダイソンが新たなV11 Torque Driveを発表したので、V10は以前より安くなっています。これを書いている現在、全てのアクセサリをつけたV10 Absoluteは最低520ドル(約5万6千5百円)で販売されており、同じ技術ながらアクセサリが少なくコンテナが小さいV10 Motorheadは400ドルです。(編注:日本ではMotorheadはオフィシャル販売が終了しています。代わりに、Fluffyという軽量モデルがあります)


細かな問題を解決したV11
しかしダイソンにとっては、それでもまだ高額な掃除機は終わりではありません。V11 Torque Driveは驚きの700ドルで、V10の多くの問題を解決しています。先代同様V11もパワー設定は3段階ですが、V11にはオートモードがあり、センサーでどんな表面を掃除しているか検知し、強さを自動で調節できます。掃除機の後ろには小さいLCDスクリーンがあり、バッテリーがあと何分何秒残っているか教えてくれます。V11ではフィルターカバーも透明なので、汚れていたらすぐにわかります。
V11でびっくりしたのがもう一つ。V11 Torque DriveはV10より静かなのです。現在V11を二週間ほど使っていますが、犬がV10の時ほど怖がらなくなりました。オートモードのおかげで自分で強さを調節しなくていいので、掃除の途中で電池が切れることもなくなりました。これらのアップグレードは、そこまでエキサイティングに聞こえないと思います。最新モデルのために300ドルを追加で払いたいかは、私にも分かりません。


正直に言うと、殆どの人はV11 Torque Driveは必要ないと思います。V10もそうです。これらのスーパーコードレス掃除機は一般家庭には過ぎたものだと思うし、値段にもそれは現れています。ただ、V11とV10で素晴らしいのは、V8とV7の値段が下がったことです。アクセサリつきのV7は現在230ドルくらいで買えます。Wirecutterによれば、V7はベストなコードレススティック型掃除機だそうです。私個人としてはベストとは思いませんが、今最もお買い得なのはV7でしょう。
振り返ってみると、Cyclone V10の問題は、V11 Torque Driveをより良くするための成長痛のように感じます。V10は、ダイソンの目指すよりパワフルでスマートな掃除機の未来の片鱗を見せてくれたのです。しかし同時に、ダイソンの過去のコードレス掃除機も独自の理由でタイムレスだと思い出させてくれます。