読売新聞 によるストーリー
コレステロール治療薬の「スタチン系薬剤」に、抗がん剤の副作用として手足にしびれが出るのを抑える効果があると、愛媛県の松山大などの研究グループが3日、発表した。
抗がん剤を投与された2657人のカルテを解析し、大腸がん患者でしびれの発現率が約3割低下したのを確認。副作用を軽減する治療の開発につながると期待される。(氷見優衣)
コレステロール薬に抗がん剤副作用「抑制」効果…しびれ発現率が3割低下、松山大など発表
© 読売新聞
抗がん剤の「オキサリプラチン」は、大腸がんなどの治療に使われるが、副作用として手足のしびれや痛みといった 末梢(まっしょう) 神経障害を生じることが多い。障害によって日常生活が困難となり、抗がん剤治療を断念する患者もいるという。
松山大薬学部の武智研志准教授(医薬情報解析学)らは、カルテなどのビッグデータを活用し、既存の薬の新たな効用を調べる「ドラッグリポジショニング」を研究。今回は、全国の大学や医療機関と連携して13施設の患者計2657人のカルテを収集した。
このうち4人に1人は、日常生活に支障をきたすほどの手足のしびれが出ていた。研究では、血液中のコレステロール値を下げるスタチン系薬剤を服用している患者と服用していない患者に分け、年齢や体重、基礎疾患も踏まえ、しびれの発現状況を解析した。
患者全体の発現率は、同薬剤の服用者が23・0%、非服用者が25・0%で差は認められなかった。一方、大腸がん患者の発現率は服用者が19・8%、非服用者が28・3%となり、服用者が約3割も低かった。同薬剤の効果で末梢神経を保護し、しびれの発現を防いだ可能性があるという。
研究グループは今後、同薬剤の有効性と安全性を厳密に検証し、将来的には既存薬を用いて安価で導入しやすい治療法の開発を目指す。武智准教授は「副作用に苦しむがん患者の生活の質向上や治療の継続に貢献したい」と意欲を語った。
研究成果を説明する武智准教授(松山大学で)