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パチンコ・パチスロ業界が狙う「アニメファンの取り込み」 実写コンテンツより2次元コンテンツのほうが人気が高まる背景にある“演出映像”の事情

 

 

アニメ作品を題材にしたものが多いパチンコ・パチスロの遊技機(イメージ)

 

 

アニメ作品を題材にしたものが多いパチンコ・パチスロの遊技機(イメージ)

 昨今のパチンコ・パチスロでは、人気コンテンツを題材にした遊技機が数多く登場しているが、なかでも圧倒的に多いのがアニメ作品の遊技機だ。


 パチンコ・パチスロメーカーのサミーは6月20日、アニメファンに向けてパチンコ・パチスロの楽しみを伝えるためのサイト『サミ推し』を公開した。

同サイトでは、パチンコ・パチスロ初心者向けに、打つ前に知っておくべきことやホールでの“あるある”などを紹介。さらに、特集機種として7月7日導入予定のパチンコ機『e東京リベンジャーズ』をピックアップし、出演する声優とのコラボ企画やイベントなども展開するという。

 ユーザー離れが進むパチンコ・パチスロにおいて、人気コンテンツを遊技機にすることで、そのファンを新規ユーザーとして呼び込むことは重要なミッションとなっている。題材にする作品の人気や注目度が高ければ、その分ユーザー獲得の期待も大きくなるのは当然だ。

 

パチンコ・パチスロに詳しいジャーナリストの藤井夏樹氏は、「特にパチンコ・パチスロにおいては、実写コンテンツよりも二次元コンテンツが人気」だと指摘する。

「もちろん、実写ドラマや映画を題材にした遊技機もありますし、人気歌手のタイアップ機などもあります。しかし、現状ではアニメ作品、もしくは漫画などの“二次元コンテンツ”の遊技機が圧倒的に多い。

 

たしかに、2012年にヒットした『CRぱちんこAKB48』や特撮モノの『牙狼』シリーズなど実写系の人気機種もありますが、全体から見ればレアケース。多くのメーカーが二次元コンテンツを中心に新機種の開発をしています。大きな理由は映像制作のハードルの低さです。実写に比べて、アニメ作品だと遊技機用の映像を作りやすいんです」

 

 

新規映像作成のハードルの高さ

 現在のパチンコ・パチスロでは、大きな液晶画面がついている機種が多く、その液晶画面上で繰り広げられるさまざまな映像による“演出”が人気を左右する要素となっている。いかにしてユーザーを楽しませる映像を作るかが重要だが、実写のドラマや映画の場合、新規映像の撮影が簡単ではないという事情があるのだ。一方アニメ作品であれば、新規映像作成のハードルは実写よりも低い。

「パチンコ・パチスロの映像は特殊で、アニメ作品とは全く関係ないような場面が登場することも多い。実写コンテンツの場合、そういったパチンコ・パチスロ用の特別なシーンをキャスト陣を再び集めて追加撮影するのは難しい。また、パチンコ・パチスロ機への登場を避ける俳優さんやタレントさんが一定数いるのも事実。そういったなかで、二次元コンテンツは新規映像を作りやすいし、素材としても加工しやすいわけです」(藤井氏、以下「」内同)

 また、現在のパチンコ・パチスロでは、“バトル演出”が多く登場する。たとえば「味方と敵が戦い、味方が勝ったら大当たり」といったものだ。アニメ作品では、そういった戦いの要素を含むものが多く、バトル演出を作りやすいという事情もある。

「あまりバトルの要素がないコンテンツを遊技機の題材にすると、かなり不自然な形でのリーチ映像になってしまうことも多いものです。たとえばタレントさんを題材にした機種だと、そもそも戦うような要素もなく、リーチ演出はあまりにも突飛なものになってしまいがち。ユーザーとしても、ちゃんと正当性のあるバトル演出でないと入り込めない。バトルが不自然にならない作品が多いという意味で、二次元コンテンツが取り上げられやすいとも言えます」