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中国産輸入食品の食品衛生法違反事例 2024年度最多は「生鮮にんじん」の19件で基準値を超える農薬検出、「いったピーナッツ」から発がん性物質も

 

 

消費者が中国産食品を口にする機会は多い(写真:イメージマート)

 

 

消費者が中国産食品を口にする機会は多い(写真:イメージマート)


 厚生労働省が公表した2024年度の「輸入食品等の食品衛生法違反事例」(2024年4月~2025年3月)を確認すると、中国産食品の違反事例は170件にのぼり、国別で最多だった。

最近でも回収事例が相次いでいるが、具体的にどのような食品が違反となったのか、紹介していこう。

 違反事例が最も多かったのは生鮮にんじんの19件で、違反内容の大半は基準値を超えるメピコートクロリドだった。

植物の成長調整剤として用いられる農薬で、過剰摂取による腎臓や肝臓への影響が指摘されている。

「中国産の生鮮にんじんは食品加工業者や飲食店に大量に流通しており、消費者が知らずに口にしているケースは多い」と食品の安全に詳しいジャーナリストの小倉正行氏。

飲食店でもきんぴらやサラダ、シチューなど幅広い用途で使用されているという。

 続いて目立つのがピーナッツ類。いったピーナッツ(9件)と大粒落花生(7件)からは、発がん性物質アフラトキシンが検出された。

「高温多湿な土壌で産生されるカビ毒の一種で、国際がん研究機関はアスベストダイオキシンなどと同じく発がん性評価の最高ランクに位置づけている。長期的な摂取で肝臓がんのリスクがあると指摘されています」(同前)

 輸入ピーナッツの約4割は中国産で、バターピーナッツや外食の炒め物などに広く使われているという。

 ブロッコリーでも9件の違反事例があり、基準値超の農薬プロシミドンのほか、大腸菌群のE.coliが検出されたケースも。

「E.coliはO157を含む糞便系大腸菌群の総称で、摂取すると下痢や腹痛、血便などが生じるほか、重症化すると貧血や血小板減少、急性腎不全を伴う溶血性尿毒症症候群を引き起こす危険性もある。冷凍しても死滅しないので厄介です」(同前)

 

 

中国産ブロッコリーはステーキやハンバーグの付け合わせやサラダ、パスタの具材などとして外食チェーンでの需要が高く、「消費者の口に入る機会は多い」と小倉氏は危惧する。

 E.coliをはじめとする大腸菌群は、イカ団子やエビ団子などの魚肉ねり製品(7件)や冷凍餃子(2件)、冷凍のばれいしょ(2件)でも検出された。

「冷凍の菜の花(6件)から検出されたテブコナゾールはトリアゾール系の殺菌剤で、動物実験甲状腺や肝細胞腫瘍が認められている。

 生鮮ねぎ(5件)や生鮮たまねぎ(4件)から検出された殺虫剤のチアメトキサムも、マウスを用いた発がん性試験で肝細胞腺腫や肝細胞がんの増加が認められているほか、人に対しては神経毒性の恐れが指摘されています」(同前)

 杏仁(3件)からはシアン化合物が検出され、なかには基準値の5倍となる50mg/kgが検出されたケースもあった。

 杏の種子には天然のシアン化合物が含まれているが、過剰摂取すると吐き気や頭痛、呼吸困難などの中毒症状が出る危険性がある。



週刊ポスト2025年7月11日号