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ロキソニンS、イブA、カロナール⋯「市販の痛み止め薬」はどこが違うのか? 意外と知らない「効き目」「安全性」の差と「飲み方の鉄則」

週刊現代

講談社

月曜・金曜発売

 

 

痛みには「2つの種類」がある

「ある日、階段を降りていて、お尻から太ももに電気が走ったような痛みを感じたんです。

しばらく経っても、痛みが引かないどころか強くなるので、家にあった ロキソニンを飲んだのですが、それでもまったく治らなくて……副作用なのか、なんだか胃が気持ち悪くなってしまいました」

そう訴えるのは、大阪府に住む66歳の女性だ。数日後、女性は整形外科を受診し、坐骨神経痛と診断された。その際、医師からこう言われて驚いたという。

 

ロキソニンは神経痛にはあんまり効きませんよ」

どこの家にも、一箱は常備されている痛み止め薬。頭痛、腰痛、関節痛にかぜと、不調を感じたら「とりあえず飲む」という人も多いはずだ。

 

ところが一口に「痛み止め」と言っても、銘柄ごとに成分も効き方も大きく異なることや、副作用などのリスクが違うことは、あまり知られていない。

事実、ロキソニンSを製造販売する第一三共ヘルスケアによる2023年の調査では、「解熱鎮痛薬を買う時、成分は重視していない」という人がおよそ3割にのぼった。

 

これほど身近であるにもかかわらず、もっとも「適当に」利用されているクスリ、それが痛み止め薬だと言っても過言ではないだろう。

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たとえば、市販薬・処方薬どちらにおいても、日本でいちばん多く使われている痛み止め薬のロキソニンは、前述の通り神経痛には効かない。

カニズムを、聖マリアンナ医科大学病院緩和ケア科部長の橋口さおり医師が解説する。

「そもそも痛みには、大きく分けて2つの種類があります。

 

(1)ケガなどで体の組織が壊れ、炎症を起こすことで発痛物質が放出されて痛む『侵害受容性疼痛』

(2)神経線維が直接障害を受けたり、腰痛などで痛みが長引くうちに、痛覚を伝える神経線維が変性し、痛みを感じやすくなる『神経障害性疼痛

 

ロキソニンなど、市販されている痛み止めの多くは『NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)』に分類されます。

NSAIDsは発痛物質を抑えることで炎症や痛みを鎮めるため、(2)の痛みには効きにくいのです」

 

本記事末尾の一覧表に、市販されている痛み止め薬のうち、売り上げが大きいものや薬局・ドラッグストアで購入しやすいものを記した。

誰もが名前を知っているクスリだけでもかなりの種類があるが、具体的にはどう違うのか。

 

 

市販の痛み止め薬「4強」の違い

市販の痛み止めでシェアトップを争うのが、第一三共ロキソニンSとエスエス製薬の イブA錠だ。どちらもNSAIDsで、主な成分は前者がロキソプロフェンナトリウム水和物 、後者がイブプロフェンと異なるが、効き方は似ている。

兵庫医科大学名誉教授・武田総合病院リウマチセンター長の佐野統医師が言う。

 

「クスリの効き方を測るうえでは『半減期』、つまりクスリの成分の血中濃度が半分になるまでの時間を見ます。

NSAIDsではロキソプロフェン、イブプロフェンジクロフェナクナトリウム(商品名ボルタレン、飲み薬は処方薬のみ)などが半減期の短いクスリです。だから、一日に何回か分けて飲むようになっているわけですね。

 

これらの中では、ボルタレンがいちばん鎮痛効果が高いため、ロキソニンが効かない人にはボルタレンを処方しますが、そのぶん副作用が強まることもあります(副作用の詳細は4月10日配信予定の第2章に掲載)。

 

また、NSAIDsは急性の痛みに素早く効く一方、腎臓のはたらきを低下させ、血圧を上げる場合があります。

ですから、特に内臓の機能が落ちている高齢者の場合は、半減期が短く、体への負担が小さいクスリを使うのがよいとされています」

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1963年発売と歴史が古く、「半分はやさしさでできている」のキャッチコピーで知られるバファリンAも、NSAIDsのひとつ。その主な成分は、「紀元前から使われている痛み止め成分」であるアスピリンだ。効き目がロキソプロフェンやイブプロフェンより穏やかで、副作用も少ないとされる。

 

そのほか、NSAIDsに分類される市販の痛み止め薬にはリングルアイビーディパシオEXなどがあるが、売れている市販薬の中にも、NSAIDsではない痛み止めがある。 カロナールAだ。