日々「新しい副作用」は更新される
心筋梗塞や脳梗塞の予防・不整脈の治療に使われる抗血栓薬、いわゆる「血液サラサラ薬」は、日本でもっとも売れているクスリのひとつだ。2022年の医薬品売上高をみると、オプジーボなどの高額ながん治療薬に混じって、抗血栓薬のリクシアナ、イグザレルトがトップ10に入っている。
1960年代から処方されている古い抗血栓薬のワーファリンを飲んでいる人もたくさんいる。
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だが、これほどメジャーなクスリにさえ、つい先日、知られていなかった副作用が見つかった。
【投与後に急性腎障害があらわれることがある】
【血尿を認めるもの,腎生検により尿細管内に赤血球円柱を多数認めるものが報告されている】
これは2023年12月に厚生労働省がまとめた「医薬品・医療機器等安全性情報」の資料に記されている一節だ。
同月、前述した3種に プラザキサ 、 エリキュース を加えた5種類の抗血栓薬の「使用上の注意」に、 急性腎障害 が追記されることとなった。
ふだん、患者の目に触れることはまずないが、厚労省は随時、このようなクスリの「新しい副作用」の報告を受けて情報を更新している。
その中には「あの有名なクスリも?」と思わず驚いてしまうようなものも少なくない。
過去1年に判明した主なものを付録の一覧表にまとめた。
先に触れた抗血栓薬の資料を見ると、「症例」のひとつとして匿名の50代男性の生々しい経過が載っている。