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《”結婚しなくては”の呪縛から自由に》元CA婚活コンサルが明かす昭和な偏見とその解放法

婚活パーティーのイメージ(写真/Getty Images)

婚活パーティーのイメージ(写真/Getty Images)

 今、「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」という言葉が注目を集めている。

これは、自ら気づかぬうちに社会的なステレオタイプを内面化し、その影響が日常の判断や行動に表れる現象を指す。

人々の意思決定に無意識のうちに作用し、時に選択の幅を狭めている。

 

 かつて昭和の時代には、性別、年齢、職業、家庭内の役割などに対して画一的な価値観が浸透していた。

その価値観は、家族や社会の中で当然視され、疑問を持たれることが少なかった。

 

時代が進み、多様性を重んじる社会となった令和においても、これらの偏見は完全には解消されておらず、むしろ無意識の領域で現在の意思決定に深く影響を与え続けている。

 

 今回、そういった時代錯誤な、いまだに現代の生活にはびこり人々を悩み苦しめるアンコンシャス・バイアスを“昭和な呪い”と敢えて命名し、そのストレスから心を解放するためのマインドエクササイズ本を上梓した、婚活コンサルタント松尾知枝氏にお話を伺った。【全3回の第1回】

 

 * * *
 3万人以上の婚活相談者に寄り添ってきた松尾知枝氏は、クライアントとの対話の中から、その課題の多くが恋愛や結婚に関するスペックや駆け引きの技術などの問題ではなく、社会や家庭で受け継がれてきた固定観念に起因しているとういことに気がついたと言う。

その偏見が、人々の自己評価や行動の自由を制限していると語る。

 

「多くの女性の結婚をサポートをしてきましたが、その過程で気づいたことがありました。

婚活をするお客様は、異口同音に『早く結婚しなくては』といいます。

それも、“結婚したい”ではなく“結婚しなくては”なのです。」

 

 

著者の松尾知枝氏。日本航空にCAとして勤務した後、婚活支援を行うという移植の経歴を持つ

著者の松尾知枝氏。日本航空にCAとして勤務した後、婚活支援を行うという異色の経歴を持つ

婚活コンサルの現場から明らかになってきた生きづらい現代人全てに通じる悩み苦しみの原因

「一人の女性にこう尋ねました。『なぜ、”結婚しなくては”なんですか? 結婚は、別にしなければいけない義務ではないはずですが』と聞くと、彼女は『結婚していないと、人として問題があるように思われるんです』と、顔を曇らせました。

 

『女は結婚して子どもを産んで一人前』は今も根強く残る古い価値観信仰の一つ。

未婚女性は周囲から『あなたのためを思って言ってるの』と”善意”のアドバイスシャワーを浴びせられ続けます。

 

『(親や親戚から)いい加減早く結婚しなさい』、『35歳以上なのに、理想が高すぎるんじゃない?』、『高齢出産は、リスクが高くなるから、若ければ若いほうがいいよ』……。

 

家族や身近な人、あるいはメディアの記事を目にしているうち、みんなと同じじゃない自分はダメなのだと思い悩むようになります。

 

『結婚していない、出産を経験していないことに、負い目があります。

結婚、出産していないと、社会に存在することすら許されてないようで……』と悩む女性の声が絶えません」

 

「お客さまの悩みの原因になっているのは異性との駆け引きのテクニックではなく、偏見という名の昭和な呪いにあるということに気づきました。

 

昭和的な考えを背景とする、これらの呪いは、多様性を尊重する現代社会において改善が求められています。

 

それには、まず自身の中にある無意識のバイアスに気づき、それを意識的に取り除く努力が必要です。

私の婚活講座は、結婚することを目標としたコンサルでありながら、実は昭和な古い価値観から自分を取り戻し、より良い自分らしい人生を選択するためのプロセスでもあったのです。」

 

 現代の婚活は単に結婚を目指す活動ではなく、自分自身と向き合い、時代に根付く偏見から解放され、自由な人生を選び取るプロセスでもあると強く語る松尾氏。

 

松尾氏のクライアントさんたちが、婚活を成功させていったマインドセットワークは、日々の“昭和な呪い”のアンコンシャス・バイアスに起因するストレスに悩み苦しむ私たち現代人全て効果的というわけだ。

 

 そして、松尾氏は、その解決方法として、まずは、そういった“昭和な呪い”の存在に気づき、本来の自分らしい生き方を取り戻すために、マインドセットしていくことが大切であると語る。

 

 松尾氏は、日々の生活の場で、仕事の場で、旧態依然のスタイルのまま当たり前のように交わされ、当たり前のように受け取ってしまっている、“昭和な呪い”のフレーズが未だにあることに言及。

 

特に昨今、世間一般的に取り沙汰されるトピックに関わる“昭和な呪い”のフレーズを「空気読めの呪い」、「ジェンダーの呪い」、「24時間戦えますか? の呪い」、「年齢の呪い」、「ママなんだからの呪い」、「マウンティングの呪い」、「アットホームの呪い」と七つの“呪い”に分類している。

 

 次回は、時代錯誤でありながら、確かに未だに耳にしたり、もしかしたら、あなたも何の気なしに使ってしまっているかもしれな、代表的な“昭和な呪い”のフレーズを紹介していく。

【第2回に続く】

 

 

【プロフィール】
松尾 知枝(まつおちえ)/婚活コンサルタント、株式会社インプレシャス 代表取締。10歳から8年間、児童養護施設で暮らす。つらい幼少期を経て、 自身で考案したメンタルエクササイズにより呪いを解き、目標達成する面白さに目覚める。新卒で日本航空に入社。CAとして国内線、国際線に乗務。2011年より自身の経験と心理学をベースにした婚活支援を行う。自己肯定感を高め、心から望むライフデザインを描きたい女性から 大きな支持を受ける。情報番組出演や東京都の婚活支援事業、ゼクシィ縁結びのコラムに監修として携わるなど、活躍の場を広げている。著書に『3ヶ月でベストパートナーと結婚する方法』(かんき出版)、『3年以内に成功する男、消える男』(フォレスト出版)、『1日5分で夢が叶う 日記の魔法』(中経出版)、『あなたの生きづらさ”昭和な呪い”のせいでした』(小学館)。