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職場の“結婚・出産祝い金文化”への違和感 「有志でやればいいのになぜ一律徴収?」「お金がないから断ろうとしたのに…」

職場の“お祝い金徴収”の慣習にモヤモヤする人も(イメージ)

職場の“お祝い金徴収”の慣習にモヤモヤする人も(イメージ)

 

 職場の人が結婚・出産するにあたって、会社からの慶弔金とは別に、部署やチーム単位でお祝いをするケースがある。

物品や金銭などお祝いの形はそれぞれだが、「部署単位にされると、お金を出さざるを得ない」と、密かに戸惑いや疑問を抱く人たちもいるようだ。

 

転職3日目に“知らない人”へ出産祝い

 昨年転職し、現在は小さなPR会社に勤める30代女性・Aさんは、「今の会社では、結婚や出産のときは何となくお祝いをする慣習があることに驚いた」と明かす。

 

「転職して3日目に、部署の人の出産祝いとして、一人一律5000円を集めると言われました。

誰かも知らない人へのお祝いというのが正直気持ち悪かったのですが、上司からは『めでたいことだし、Aさんもせっかくだから』と促されてしまい……。

おめでたいのはおめでたいけど、“せっかく”とは何なのでしょうか(笑)」

 

 面倒な波風を立てたくなかったAさんは言われるままに払ったものの、今も納得はいっていない。

また、もらう立場になってみても、「いらない気遣い」だと感じているという。

 

「よく、『元を取るためには自分も結婚、出産すればいいんだよ』という人がいますが、そういう問題ではないというか。

私は転職時にすでに既婚で、転職後に出産しましたが、内祝いは不要だとハッキリ伝えました。

お礼を言ってまわるのも面倒だし、自分がもらう側になると、誰がお金を出したか、出していないかというのは、それはそれで気になるなと思ったからです」(Aさん)

 

「お金がない」と断ろうとしたら…

 メーカー勤務の20代男性・Bさんも「拒否権がない」ことに納得がいっていない。

「同僚が結婚・出産すると、張り切って『お祝い何がいい?』と当事者に聞いて、その物にかかった費用を職場で割り勘する人がいるんです。

 

『職場には15人いるから、一人5000~6000円として、10万円以下のものでほしいものを言って』というシステムで、これまであったのは鍋セットや一眼レフカメラ

 

その後、『○君はコレがほしいそうで、いくらかかったから、一人○円ね』と強制徴収されますが、どちらかというと、先に有志を募って、その人たちで買えるものを買えばいいのではないかと思うのですが……。

 

5000~6000円なら出すだろうと思われているのも腹が立ちます」

 Bさんは一度、ほとんど交流がない人の出産祝いを徴収されるにあたり、「お金がない」という理由で断ろうとしたことがあるが、失敗に終わったと明かす。

 

「まさかの『お金がないなら、立て替えておいてあげる』と提案されてしまい、それ以上何も言えませんでしたね……。

同僚なら、おめでたいことには、お金を払ってしかるべきという圧がつらかったですね。

 

 今の時代、結婚してもしなくてもそれぞれの人生、という価値観が主流になってきてますし、そもそも友人や家族ならともかく、あまり知らない職場の人の結婚とか出産には正直興味はないです。僕が冷たいんですかね?」(Bさん)

 

祝いたいなら親しい人たちでやってほしい

 IT企業勤務の20代女性・Cさんは、「不思議な文化」だと冷めた見方を示す。

「昭和っぽいというか、社員は家族、という発想にもとづく習慣なのかもしれませんが、個人的には、会社からお祝い金が支給されているなら、それで十分だと思いますね。

職場でも本当に親しい人が有志で、といった形でいいのでは。

 

 単純に不思議なのですが、新生活や出産にあたっては何かとものが入り用だからという理由なら、引っ越しだって何かとものが入り用なわけですし……」

 

 Cさんが冷めた見方をするようになったのは、ある体験がきっかけだった。

「同期が結婚する時、『お祝いであのグループからはキッチングッズをもらって、こっちからは寝具をもらって……』と計算していたと言うんです。

 

そういう皮算用はあっていいとは思いますが、それをいちいち言わなくてもいいのにと、めちゃくちゃ萎えました。

しかもその後スピード離婚したんですよ。正直、お金返せって思いました(笑)」(Cさん)

 

職場の人間関係は仕事のしやすさにも影響を及ぼす。

職場の「お祝い」にも人間関係を円滑にする効果はあるかもしれないが、一方でこうした職場の慣習に納得が行かない人も少なくないようだ。(了)