2022年の為替相場を振り返ると、特に変動が大きい1年でした。
円安の影響で物価の上昇もあり、各国の金融政策の方向性が違うにせよ、改めて日本経済に対して不安を抱いてしまう1年でした。
物価の上昇に併せて賃金も上昇すれば良いですが、日本の賃金は上昇せず、平均年収は30年以上変わりません。そこで今回は、日本と世界との比較をしたうえで、個人ができる対策についてお伝えしていきます。
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1.日本は世界で何番目の経済大国か?
IMF(国際通貨基金)が発表している統計に基づく2021年における日本のGDPは、約4.9兆ドルであり、日本はアメリカ・中国につぐ世界第3位の経済規模を維持しています。
GDPとは、その国で一定期間に稼ぐお金の総額を表す指標とされ、基本的にその国の経済規模をわかりやすく表したものになります。
第3位というと聞こえは良いですが、トップの米国のGDPは約23兆ドル、2位の中国でも約17.7兆ドルと大きく差がありますね。
次に、日本の平均年収も見ていきましょう。
2. 日本のサラリーマンは何割が年収400万円台なのか
国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年)」によると日本人の給与所得者全体の平均年収は443万円(前年比10万2000円の増加)です。これを男女別にみると、男性545万円、女性302万円となっています。
また、平均年収に満たない年収400万円以下の割合は53.6%。半数以上の人が平均年収以下という状況です。
出所:国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年)」
賃金や物価は経済成長にあわせて上がっていくのが本来あるべき姿ですが、日本経済は30年間も低迷したまま。こうした伸び悩む年収を打破するため、国や企業が注目している一つに「副業」の働き方があります。
最後は、この「副業・兼業」という考え方も含め、個人ができる対策をお伝えしていきます。
3. 個人ができる対策「自分が働く or お金が働く」
まずは当たり前になりますが、自分自身が「長く」働くことです。これからの時代に自らの年収アップや求められる人材を目指す場合、個人としての専門分野や強みを持ち、自分自身の価値を上げていく努力、スキルアップは必須だといえるでしょう。
スキルアップができれば、そのスキルを1社だけで活かすのではなく、複数の会社で活かす「副業・兼業」という選択肢を取り入れることもできますね。
終身雇用や年功序列といった、日本固有の雇用慣行が崩れた今、会社に依存せず自分でキャリアを形成していく「副業・兼業」についても注目されており、今後ますます大きな意味をもつことでしょう。
日本経済団体連合会の副業・兼業に関するアンケート調査結果によると、自社の社員が社外で副業・兼業することを「認めている」割合は53.1%、「認める予定」の割合は17.5%となっています。
同調査から、社外での副業・兼業を認めている企業の約4割が「多様な働き方へのニーズの尊重」、「自律的なキャリア形成」といった点で企業側も効果を感じています。
働く個人としても副業・兼業をすることで、収入の柱が2本となることへの安心感だけでなく、新しい知識や経験が得られ、さらなる能力やスキルの向上を図ることができるでしょう。
一方で、副業トラブルの増加が増えていることにも注意が必要です。
出所:独立行政法人 国民生活センター「若者向け注意喚起シリーズ〈No5〉」
「簡単に稼げる」「気軽に始められる」と強調するインターネット広告などには注意しましょう。
4. お金に働いてもらうことも視野に
長い人生、働き続けることが困難な時もあるかもしれません。そこで、お金に働いてもらうことも併せて考えましょう。
今は自らが運用して増やす時代になりました。資産運用をバックアップするための国の優遇制度としてNISAやiDeCoなどの制度もあります。特にNISA制度は「新しいNISA」として利便性が向上されたと注目を浴びています。
出所:金融庁「新しいNISA」
終身雇用制度の崩壊を考える今、自分の未来の資産を守りつくるのは自分自身です。副業・兼業や資産運用を特別なことと考えるのではなく、当たり前のものとし、これからの新しい時代を乗りきっていきましょう。
参考資料
国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年)」
一般社団法人日本経済団体連合会「副業・兼業に関するアンケート調査結果」
金融庁「新しいNISA」
独立行政法人 国民生活センター「若者向け注意喚起シリーズ〈No5〉」
金融庁「新しいNISA」
齋藤 英里奈