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眞子さまの"複雑性PTSD"、「中学時代のトラウマ」とは何か? そこから見えること

秋篠宮家の長女眞子さま(29)と小室圭さん(30)の結婚が正式決定し、婚姻届提出と2人の記者会見が10月26日に迫っている。小室さんの母親の金銭トラブルや疑惑、それへの対応が世間の強い批判を受ける中での結婚。眞子さまはバッシングが原因で、複雑性心的外傷後ストレス障害複雑性PTSD)という精神疾患を患っていたという。

 

病気を抱えながらの記者会見で何を語るのか、トラブルや疑惑に対する説明はあるのか、注目が集まるが、その一方で私が気になるのは「眞子さまが"中学生の頃から"誹謗中傷に精神的負担を感じていた」と発表された点だ。

 

〔PHOTO〕Gettyimages

 

長期にわたる反復的トラウマ

 

結婚決定の正式発表は、10月1日、秋篠宮家のお世話をする宮内庁皇嗣職」のトップである加地隆治皇嗣職大夫によって行われた。そこに見慣れぬ医師が同席したため、記者たちの間に緊張が走ったという。長期にわたる週刊誌やインターネット上での批判により、眞子さまが体調を崩すのではないかという心配は、以前からあった。

 

同席したのは、NTT東日本関東病院精神科医秋山剛氏で、「眞子内親王殿下は、ご結婚に関する、ご自身とご家族およびお相手とお相手のご家族に対する誹謗中傷と感じられる出来事を、長期にわたり反復的に体験された」結果、複雑性PTSDと診断される状態に至った、と説明した。

 

複雑性PTSDは、日常的に繰り返されるトラウマにより起きる症状で、虐待のような悲惨な体験を長期間続けた人に適用されることが多い。心的外傷後ストレス障害PTSD)が、戦争や災害、事件などで直接生命の危険にさらされた人などに当てはまるのに対し、複雑性PTSDは、一つ一つはそこまで深刻な体験ではないものの長期間にわたって反復的に受けるトラウマで引き起こされるという。

 

眞子さまの状態がこの診断名に当てはまるのかどうか、疑問視する声も少なくないが、診断の真偽のほどについては、ここでは触れない。ただ、眞子さま複雑性PTSDと診断された時期について、加地大夫は「説明を控えたい」としか言わなかった。

 

 

眞子さま複雑性PTSDだったとすると、その直接の原因は結婚をめぐるさまざまな批判にあるのだろう。

しかし秋山医師による説明の前に、加地大夫は「眞子さまは中学生の頃から、身近な方々やご自身に対する誹謗中傷と感じられる情報を日常的に目になさり、精神的な負担を感じておられた」と話し、いわゆる「トラウマ」が"中学生の頃から"のものであり、自分だけでなく"身近な人々への中傷"も含まれていることを明かした。

 

 

中学生時代からの誹謗中傷とは?

眞子さまが中学生だったのは2005年前後のこと。3年生だった2006年の9月には、弟の悠仁さまが生まれている。皇室にとっては、父の秋篠宮さま以来41年ぶりの男児誕生。

 

秋篠宮家は皇統の危機を救ったとも言われ、仲の良い理想的な家族としてメディアに取り上げられていたはずだ。「身近な方々」と言われれば、まず「家族」を連想するが、当時の秋篠宮家がバッシングを受けていたとは思えない。

 

では、その頃誹謗中傷を受けていた「身近な方々」とは誰のことなのか。それは、当時の皇太子(現在の天皇陛下)ご一家しかないように思う。

皇太子妃時代の雅子さま(2005年)〔PHOTO〕Gettyimages

 

そう考えて思い当たることがあった。私が聞いた話では、眞子さまと妹の佳子さまは当時、女性として皇太子妃の雅子さまを尊敬している様子があったらしい。 

 

2006年ごろの雅子さまは、適応障害の長期療養が始まって4年ほど。こなせる公務は極めて少なく、「仕事をしないで私的に遊んでばかりいる」などとバッシングを受けていた。妻を支え、かばおうとする皇太子さまにも批判の矛先が向いていた。幼い愛子さまへの心ない中傷まであった。

 

 

多感な少女時代、眞子さまは身の回りにあふれるそうした理不尽なバッシングを目の当たりにし、皇室という世界に生きることを悩むようになったのではないか。眞子さまと、妹の佳子さまは、バッシングを受け続ける皇太子一家に同情し、そのことを巡って両親といさかいになることもあったと聞いている。姉妹は当時から、「早く家を出ること」を望んでいたという。

 

 

結婚という「脱出」

皇族は、まるで芸能人のように、行動や服装、容姿にまで視線を浴び続けるという現実がある。芸能人は自分の意思でその世界に入るが、皇室に生まれた人々はそうではない。どうしたらこんな世界から逃れられるのか——。眞子さまが次第にそんな思いにさいなまれていったとしても不思議ではない。

皇室典範12条は「皇族女子は、天皇および皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる」と定めている。11条で、本人の意思による皇籍離脱も規定されているが、皇室会議の議決を経なければならず、あまり現実的ではない。

結婚——。それが眞子さまにとって唯一の「脱出の方法」だったとしたら、激しい批判を浴びながら、婚約内定から4年の長きにわたって結婚への意思を貫き通したのも理解できる。国際基督教大学で同級生として知り合った小室さんは、婚約内定後に家族のトラブルや疑惑が噴出し、マスコミ総出のバッシングを受けても動じない一種の「鋼のメンタル」の持ち主だ。そうした態度を見るにつけ、眞子さまはかえって「自分を救い出してくれるのは、もうこの人しかいない」との思いを強めていったように、私には思える。

 

比較にならぬ「雅子さまへのバッシング」

しかし、同情ばかりで済まされない部分もあると思う。複雑性PTSDという精神疾患や「バッシング」という言葉からは、雅子さま適応障害が強く連想されるが、眞子さま雅子さまでは決定的な違いがある。

 

眞子さまは「バッシングで病気になった」と主張するが、雅子さまの場合は、バッシングで病気になったわけではなく、病気で仕事ができないことがバッシングされた。病気になった原因も、男児を産むことへの圧力や周囲からのいじめに近いことだったとされている。

 

 

それなのに、「公務をしないで遊んでいる」と責められた。それはまさに理不尽な誹謗中傷であり、小室家の金銭トラブルや、多くの疑惑というはっきりしたきっかけのある今回の批判と同列に扱うことはできない。

 

会見で秋山医師は「誹謗中傷と感じられる出来事がなくなれば、改善が進むと考えられる」「ご結婚について周囲の方々からの温かい見守りがあれば、ご健康の回復がさらに速やかに進む」とまで話した。精神科医が記者会見という公の場に出てきて、患者の病状や、その原因について事細かに話すこと自体が、私には信じられない。

 

雅子さまの主治医である大野裕医師は、宮内記者会の度重なる要求を受けても一切応じることなく、表に顔を出すことはなかった。精神科医の倫理として、その態度の方が当然だと思う。今回、秋山医師がどこまで発言するかは、宮内庁側と綿密にすり合わせていたと考えるのが普通だろう。

 

 

結婚に関する報道や、インターネット、会員制交流サイト(SNS)上での中傷が過熱しすぎて異常な状態にあることはまぎれもない事実だ。

だが、金銭トラブルなどが解決せず、疑惑に関する満足な説明もないままに結婚することへの批判は、国民からの声でもある。

 

秋山医師の言いぶりは、聞きようによっては、そうした声を上げぬよう国民を恫喝しているようにも受け取れる。そしてその発言の背後には、どうしても眞子さま自身を含む秋篠宮家の意思を感じてしまう。

 

 

そもそも、批判の矢面にさらされ続ける娘を本当に守ろうとする気持ちがあるのなら、秋篠宮さま自身が公に説明したり、心を鬼にしてでも、当人たちにきちんと説明させたりして、国民に受け入れられるようにするのが親心というものではないだろうか。

 

現代の皇室に「国民からの敬愛」は必須であり、敬愛される皇室を守るためには、この際、皇室の側からの説明も必要だと思う。

秋篠宮ご夫妻が親や皇族としての責務を果たし、眞子さまを守っているようには、私には見えない。

 

宮内庁も皇室自身も、病気への同情で国民の批判を封じるより、誰もが納得できる説明を、2人にさせるべきだ。

国民の疑問に、誠実さを持って答えるべきだ。本人たちが何を語るのか、10月26日の会見に注目したい。